腸活に最適な「米のとぎ汁漬け」とは? 乳酸菌が免疫力アップに貢献

ドクター新潮 健康 食事

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おすすめの野菜は

 では、どんな野菜を「米のとぎ汁漬け」にすれば、食物繊維の摂取量を増やせるのか?

 食物繊維には水溶性と不溶性のタイプがある。腸内細菌が喜ぶ餌は水溶性の方だ。海藻類、玉ねぎ、キャベツ、エシャロット(らっきょう)、にんにく、ゴボウ、豆類の他、オクラ、長芋、モロヘイヤなどのネバネバ食材に大量に含まれている。ネバネバ自体が食物繊維だが、とぎ汁に漬けておくと、切り口から繊維が何倍にも増殖し、漬け汁までもネバネバにさせる。

 一方、不溶性の食物繊維は、腸に溜まった腐敗物質をきれいにからめ捕って、排泄させる働きがある。悪玉菌やその毒素が腸内にとどまることがなくなれば、大腸がんの予防にもなる。こちらはシソ、パセリ、ニラといった香味野菜や、きのこ類、乾物にも含まれている。

 また、抗酸化力に優れ、活性酸素の害を消す「フィトケミカル」が豊富な野菜を食べることは、がんや認知症、脳梗塞、心筋梗塞の予防につながる。

 活性酸素自体は、我々の体内で日々発生している、酸化力のとても強い物質で、病原体やがん細胞などを見つけたとき、免疫細胞が活性酸素を噴射して、それら異物を殺している。

 病気を防ぐには活性酸素が必要だが、発生量が多くなりすぎると、正常な細胞をも攻撃して酸化させてしまい、遺伝子を傷つけて変異を招き、それが新たながん細胞を生み出す場合もある。増えすぎた不要な活性酸素は猛毒であり、それゆえ取り除く必要があるのだ。

 主なフィトケミカルは、ポリフェノール、カロチノイド、イオウ化合物、テルペン類、β-グルカンなどの多糖類といった成分で、具体的な食材名は米国の国立がん研究所が作成した「デザイナーフーズ・ピラミッド」に詳しい。

作り方は?

 最上位にあるにんにくをはじめ、キャベツ、生姜、にんじん、セロリ、玉ねぎ、トマト、ナス、ピーマン、ブロッコリー、カリフラワーは全て「米のとぎ汁漬け」にできるので、数種類作って冷蔵庫に備えておくといい。

 冷蔵庫がない時代、「米のとぎ汁漬け」は冷暗所に保存し、1日から2日で発酵させ、味に酸味を出していたが、今回お勧めしたいのは、冷蔵庫で保存する「米のとぎ汁漬け」だ。

 冒頭でも触れたように、野菜をカットして、保存容器や保存瓶、保存用ポリ袋などに入れ、天然塩を溶かした米のとぎ汁(1洗目は捨てて、2洗目や3洗目の濃いとぎ汁を使用。とぎ汁1カップ〈200ml〉に対し塩小さじ1〈6g〉の割合)に漬け、冷蔵庫に入れておくだけ。

 1洗目のとぎ汁を捨てるのは、汚れや農薬を流すためだが、それでも気になる方は有機栽培米を使うといい。

 ちなみに、精米技術が進んだ現在は、昔のように米をゴシゴシとこすり合わせて洗う必要はなく、水を入れてかき混ぜるだけで糠が落とせる。

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