警察が「拾いネコ」を勝手に河原に放して騒動に 動物遺棄にあたる可能性も

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 警察が拾得物として預かったネコを誤って逃がし、思わぬ騒動となっている。

 舞台は東京・八王子市。

「1月31日夕方、JR八王子駅南口付近の路上で首輪のついたネコを女性が見つけ、近くの白バイ警官に伝えました。ネコは八王子署から来たパトカーに保護されます。“署で2、3日預かる”との話でした」

 そう話すのは同市の動物保護グループ「はちねこ」のスタッフだ。発見者女性がネコのことを案じ、31日夜に連絡してきたという。

「そこで翌2月1日午前11時頃、当団体から八王子署に確認の電話をしたところ、“その猫なら10時頃、署の裏の河川敷に放した”と言われて唖然としたのです」

 首輪のあるネコをなぜ、と問うと、あっさりこんな答えを返されたそうだ。

「あの猫は捨てられたんです。飼い主が出てくるか分からないから放しました」

動物遺棄にあたる可能性

 グループのスタッフは、すぐに警察と一緒に河原を捜した。捜索チラシも作り、SNSやHPで情報提供を呼びかけた。すると翌2日、

「飼い主さんが現れました。ネコはノイちゃんという20歳のメス。奥さんがゴミ出しする際、一緒に外に出て、気づいたらいなくなっていたと」(先のスタッフ)

 以後、チラシやSNSを見た市民ら延べ千人ほどが捜索に加わった。

「成果としては4日に、バックルがとれたノイちゃんの首輪と、少量の毛が見つかっています。目撃証言も1件あります。誰かに保護されているものと考えてはいるのですが……」

 そもそも警察がネコを放してしまったのは、動物遺棄にあたる可能性もある。令和2年の動物愛護法改正で罰則が強化され、動物遺棄は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に。当の警察が「動物遺棄・虐待は犯罪です。」とPR活動をしているほどなのだ。

飼い主は「警察から被害を受けた」として被害届を

「八王子署は“遺棄ではなく、放しただけ”と言い張ります。普通はそれを“遺棄”というのですけれど」

 と、スタッフは憤る。

「加えて警察は所定の手続きも踏んでいませんでした。かつては拾ったイヌやネコは警察に拾得物として届け出るのが原則でした。現在は各都道府県の動物愛護センターや保健所に届けるようになっており、警察が預かる際は『一時預り書』を作成し、センターや保健所と連携をとるよう通達されています。でも今回、預り書は作られず、連携もとられていませんでした」

 飼い主は「警察から被害を受けた」として、被害届を当の八王子署に提出する予定だという。もはや騒動どころか、ちょっとした事件の様相さえ見せている。

週刊新潮 2022年2月24日号掲載

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