西武、屈辱の最下位から逆襲なるか…“開幕投手”高橋光成が見せた「ショートアーム」

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西武投手陣の課題は明確

 昨季、自己最多の11勝をマークしながらも、さらなる進化を目指そうとしている高橋の姿勢に、オリックス側が警戒心を高めるのも当然のことだろう。
さらに渡辺スコアラーは、もう一つの大きな“変化”も見逃さなかった。

「松本も同じ感じですね」

 4年目の右腕・松本航も「ショートアーム」に切り替えていた。松本の場合は、高橋よりも腕のたたみのタイミングがさらに早く、右腕を二塁方向へ振り始めると、すぐに右上腕部を上げるアクションに入っている。かつての沢村賞投手、元ソフトバンク・摂津正のようなイメージといえば、分かりやすいかもしれない。
昨季、初の2桁勝利となる10勝を挙げた25歳も、まさしく変わろうとしている。

 昨季のチーム防御率3.94はリーグワースト。チーム与四球597は12球団でもワースト。パ・リーグで最も少なかった楽天の383、同5位のソフトバンクの502と比べてみても、あまりにも悪すぎる。この「制球難」を、克服しなければならない。西武投手陣の課題は明確なのだ。

「タマがどうだったというのは、まだ見ていないというか、そこだけを求めてしまったら、またフォームがどんどんおかしくなる。焦らずにいきたいと思っています」

 高橋の“変身の過程”は、まさしく、エースとしての「覚悟」の裏返しでもある。

喜瀬雅則(きせ・まさのり)
1967年、神戸市生まれ。スポーツライター。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当として阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の各担当を歴任。産経夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。産経新聞社退社後の2017年8月からは、業務委託契約を結ぶ西日本新聞社を中心にプロ野球界の取材を続けている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)、「不登校からメジャーへ」(光文社新書)、「ホークス3軍はなぜ成功したのか」(光文社新書)、「稼ぐ!プロ野球」(PHPビジネス新書)、「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」(光文社新書)。

デイリー新潮編集部

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