西武、屈辱の最下位から逆襲なるか…“開幕投手”高橋光成が見せた「ショートアーム」

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動き全体としてはスムーズ

 この日のシート打撃で、3人目のマウンドに立ったのは高橋光成だった。投球モーションの始動とともに、左足を上げ、下ろして行くタイミングで、右肘の“たたみ”に入る。ボールを持った右手が、トップの位置に入るタイミングは、昨季なら左足が地面に着地するかしないかのタイミングだから、コンマ数秒の違いだろう。

 左足の上げ方も、昨季なら膝頭が腹の辺りまで来ていたものを、ベルト付近にとどめており、太ももは地面と平行。つまり、左足も抑え気味の動きなのだ。
それだけの違いで、フォームのダイナミックさが少し失われたような感があるから不思議なものだ。しかし、モーション全体がコンパクトで、ゆったりとしたものになった分、動き全体としてはスムーズに映る。

 1人目の鈴木将平にはカウント2―2から2ゴロに仕留めたが、続く森友哉には1ストライクから3球連続ボール、ファウルを挟んで結局四球となった。高木渉には右前打を許し、ブランドンは三塁ライナー、愛斗は空振り三振に仕留めたものの、打者5人に対し計26球、うちボールは11球と、初の実戦マウンドとしては、いまひとつの内容だった。

「うーん……。まだまだだな、というのがあります。きょうは、対バッターに投げられたというのだけが収穫です」

「まだ手応えは……ないです」

 コロナ禍で、直接対面しての会見は行われない。「Zoom」を通し、パソコンの画面上に映るその表情は、どこか浮かぬ感だった。

「フォームを変えて、いいところと悪いところが出ているので、そこに対して練習をしています。まだ手応えは……ないです。対バッターになると、ブルペンとは全く違う。そういった中で、反復練習というか、まだ自分自身に身についていないと思いましたし、感覚をよくしていかないといけないな、と思いました」

 試行錯誤の色が濃い。それでも、渡辺スコアラーはこう分析する。

「打者に対して、きょうが初めてでしょ? これで、コントロールが大きく狂うことはないでしょう。ここからさらに精度を上げて、そこにどれだけ球威を乗せてくるか。よく見ていかないといけないですよね」

 今季の開幕戦は、3月25日のオリックス戦。昨季の開幕戦も同カードだったが、高橋は初の開幕投手として登板、山本由伸との投げ合いだったが、8回途中まで3失点に抑えての白星を飾っている。南郷キャンプ中の2月18日に、辻発彦監督からは2年連続の開幕投手を通達され、すでに公表もされている。

「ベルーナドーム」に改称されて初めて迎える本拠地の“第1球”は、さらなる進化を図ろうとしている高橋に託されたのだ。

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