コロナ禍で日本語学校は学級崩壊状態に…そこに付け込む外国人不良グループのビジネスとは

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「在籍」させたいばかりに

 結果、平気で遅刻、早退をする、まったく授業は聞かずに教室でスマホをいじる、周囲におかまいなしに音楽を聴く、もちろん課題などこなすはずもない、という学生が増えていったという。「在籍」させたいばかりに、やりたい放題にさせていると、専門学校の職員はため息をつく。先の日本語学校の役員も、「同じような状態になっている」と語る

「素行不良の留学生たちに引っ張られるように、他の学生たちもやる気をなくして授業をまともに聞かなくなりました。教員や職員の言うことも無視するので、授業はDVDを流すだけのこともあり、学級崩壊状態になっています。職員は授業以外の生活の指導も行わなくなったので、留学生の中には週28時間の制限を超えてアルバイトなどをしている者も多いといいます」

 さらに、専門学校の職員は、こんな場面を目撃している。

「一度、校長が外国人不良グループのリーダーに留学生が退学しないよう説得を頼んでいるところに出くわしたのですが、あまりにペコペコしているので、そこまでするのかと驚きました。ですが、それほど経営者が窮地に立たされているということなのでしょう。こんな実態が文科省にバレれば、留学生の新規受け入れが認められなくなってしまうかもしれません」

1人紹介で10~50万円

 挙げ句の果てには、学校と外国人不良グループの間に金銭の授受があるのではないか、という話も流れているという。こうした日本語学校、専門学校の窮状を知ってか、外国人不良グループは”人材斡旋”に手を出し始めたというのだ。どういうことなのか。

「地方の中小企業や農家は、技能実習生を受け入れることで労働力不足を補っていましたが、コロナで彼らが来日できなくなったため、人手不足が深刻化しています。これに目を付けた外国人不良グループが日本語学校や専門学校の留学生を1人につき10~50万円の斡旋料を取ってビジネスにしています。もちろん、週28時間以上働くのは違法ですが、雇う側も背に腹は代えられないようで、特に工場、介護の会社、農家から紹介してほしいという依頼が引きも切らないようです」

 まぎれもない違法行為である。トラブルなどは起こっていないのだろうか。

「それはほとんど聞きません。留学生が在籍している学校関係者にこっそりと、どの程度日本語が話せるのか、まじめな性格かどうか、事前に聞いているようなんです。質の悪い留学生を紹介したら信用問題になりますし、警察沙汰になって目を付けられるようになったら今後、ビジネスができなくなる。外国人不良グループとはいえ、その辺は慎重に行っていますよ」(同)

 コロナ禍が日本にいる留学生と外国人不良グループをさらに結び付けてしまったようだ。今後、留学生の受け入れが再開された時、日本語学校や専門学校は本来の「学びの場」に戻ることはできるのだろうか。

真樹哲也
1985年、北関東生まれ。裏社会に入り込んで取材をし、アンダーグラウンド記事を書くことを得意としている。近著『ルポ外国人マフィア 勃興する新たな犯罪集団』(彩図社)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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