まん防を拒否する知事たちが国に提言 「効果のない飲食店時短に貴重な税金は使えない」
国民への「迎合」はダメ
〈まん防で飲食店は困っているかと思えば、宮城県でも、まん防が適用されていない他県でも、飲食業界からまん防を求める声が上がっている。店を開けていても閑古鳥が鳴くなら時短を受け入れ、協力金を受け取るほうがいいのだとか。その声にはどう答えるか。〉
まん防は経済対策ではありません。飲食店を起点にして感染が広がっているとき、抑えるために時短をお願いし、協力金をお支払いする対策です。困っているのは飲食店だけではないので、経済対策として行うなら、困っている人たちに広く光が当たるように税金を使うべきだと思います。
今後、日本の人口は急激に減り、宮城県では25年後に、いまの230万人が180万人になります。厳しい言い方ですが、そういう時代に備え、コロナ禍でも成り立つ経営を考えていくべきです。コロナ禍をチャンスと捉える気概をもった経営者であってほしい。そうでないと、25年後を乗り切れないと思います。大変だからとお金をバラまいていては、大変なことになる。いま使っているのは、未来の子供たちのためのお金の前借りなのですから。
いまバラまいたほうが批判は受けにくいかもしれませんが、国民の意見を聞くのと迎合するのとは違います。将来の国民のためになることをすべきだと、私は思っています。
地域の実情を重視すべき
〈仙台市からまん防適用を要請されても、敢然と拒んでいる。
続いて、山梨県の長崎幸太郎知事の話である。〉
すべての施策は「それしかない」という消去法ではなく、「それで十分か」「よりよい判断はないのか」という不断の検討の結果として、適時適所の妥協なき積極策として示されるべきものと考えてきました。
いま(取材当時)全国の36都道府県がまん防の適用を受け、適用を要請しない山梨県は、対策に消極的だと映っているようです。しかし、感染症対策で肝要なのは、地域の実情に合っていること。飲食店での会食が第6波の主因なら、迷わずまん防の適用を国に要請しますが、少なくとも山梨県では、飲食店での会食は感染拡大の原因になっていません。
営業継続が許される社会状況をつくりあげた飲食店や関係施設の、苦労の賜物だと思います。いまも飲食店が置かれている状況は苛酷で、行政の対応は待ったなしです。しかし、まん防による営業規制と協力金をその手段としても、飲食店以外の事業者への救済にならないうえ、地域経済に取り返しがつかない深刻な副作用と後遺症をもたらすのではないでしょうか。感染症対策と両立できる需要喚起によって、経済を回していくことこそが、とるべき道だと考えます。
[3/5ページ]