試験当日、コロナだったら浪人確定… 不条理すぎる「医療系国家試験」の受験事情

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来年、追試はあるのか

 いったいどれほどの受験者がコロナのために涙をのんだのか。改めて厚生労働省に聞くと、

「昨年度もふくめ、試験を欠席した方の個別の理由は把握していないので、人数は分かりません。14年の大雪時に追試を行えたのは、看護師試験だけの措置で、全ての医療系職種で追試を行うとなるとスケールが異なります」(医事課 試験免許室)

 試験の実施前の時期には、受験生や学校関係者からの問い合わせも寄せられたという。

 コロナの流行は予測不可能で、仮に来年度は救済措置を行うのであれば、数カ月あるいは1年前から準備をする必要があるだろう。だが来年度の試験の対応はどうなるのかについて尋ねると、

「いつごろ対応を検討するのかを含め、現時点ではまったくの未定です。お答えできることはありません」(同)

 先の國頭氏がいう。

「試験要綱には、コロナ感染で受験できなかった場合には診断書を提出すれば受験料を返還するという規定がありますから、どれだけの受験生が“被害”にあったのかの人数は把握できるはず。厚労省の『欠席の個別理由は把握していない』というのは怠慢でしょう。それに、救済がないことでコロナと思しき症状が出ても検査を受けず、強行受験した受験生がいたはずです。厚労省は、わざわざ感染を広げるようなことをしているともいえます」

 そのうえで、こう提案する。

「『全ての職種で追試を行う』という前提を外して、受験者数の多い看護師や薬剤師の試験など、できるところからやるのもやむを得ない。私は2月15日放送のBSフジプライムニュースに出演しこの問題を取り上げましたが、番組には、試験を担当する看護学校の先生の『追試になっても試験問題は作れます』との意見が寄せられていました。厚労省は試験委員に照会もせずに、自分らだけで追試は無理と結論づけているようです。必要なら委員に特別手当を出せば良い。コロナ空床補償には1兆を超える予算がつぎ込まれましたが、医療に最も必要なのはベッドよりも機械よりも『人』でしょう。その育成に労力や費用を惜しむ国家に、まともな未来があるはずありません」

デイリー新潮編集部

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