疑惑判定だらけだった北京五輪を総括 中国選手にはペナルティーが科されず金メダルを獲得

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羽生選手は不運

 一事が万事で、史上初の夏と冬の五輪同一開催都市を喧伝する中国の姿勢は、屋内競技でもあらぬ波紋を引き起こした。ケチがついたのは、男子フィギュアスケートで3連覇が期待された羽生結弦(27)である。

 再び先の記者に聞くと、

「羽生はショートプログラムで大きな得点源となる冒頭の4回転ジャンプを跳ぶ際、リンク上にできた深さ10センチほどの穴に引っかかりバランスを崩して失敗しました。こうした穴は誰もがジャンプする際にどうしてもできてしまうので、会場の首都体育館では、選手が6人滑り終わった後に製氷作業を行い、氷のコンディションが保たれるようになっていました。羽生はその作業が終わって3人目に滑ったわけで、一目見た限りはそこまでリンクの環境が悪いわけではなかった。本当に不運としか言いようがない出来事なのです」

中国に対する信用問題

 そうした実態を知らない一部の熱狂的なファンは、製氷作業がきちんと行われなかったといった“中国陰謀説”をSNSで流布した。

「アクシデントにもめげず、羽生が追い上げを見せたのはご存じの通りですが、開催国への信頼が確立されていないので、スポーツ競技につきもののさまざまなアクシデントを、アスリートに降りかかった試練だと、純粋に捉えることができない状況が起こってしまっているのだと思います」(同)

 北京五輪から受ける違和感。その根底には、「二人の男」の影が見え隠れする。

「トップアスリートらが頂点を競えば判定が難しくなることはある。それでも、選手や観客たちが今回の五輪で“絶対におかしい”と不信感を募らせる背景には、やはり中国に対する信用問題があると思います」

 と話すのは、元産経新聞北京特派員でジャーナリストの福島香織氏である。

「冬のスポーツ競技は、芸術点などパフォーマンス的な要素が主観的に評価される傾向があります。各競技のジャッジは国際的なスポーツ連盟が担っても、彼らが中国に忖度していると疑われる余地があるのです。中国は五輪を機に億単位でウィンタースポーツ人口を増やすと大号令がかけられ、スキーは成長産業のひとつ。それを将来の市場として捉える欧米などのスポーツ業界の思惑が、中国有利の判定に結びついているのではないか。中国に批判的な国の選手が活躍できないようにしたのではないか。そういった不信感が生まれているのではないでしょうか」

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