疑惑判定だらけだった北京五輪を総括 中国選手にはペナルティーが科されず金メダルを獲得
怒りの声と落胆は、やがて失望に変わった。「平和の祭典」なんて言葉が聞いて呆れるほど、熱狂に水を差す事態が頻発する五輪も珍しい。日本の選手も巻き込んだ“疑惑の判定”が続出しているかの国で、いったい何が起きているのか。その元凶をたどってみると……。
***
【写真15枚】ドーピング使用疑惑が浮上した「カミラ・ワリエワ」の華麗なジャンプ
もはや東京五輪と比べるまでもないだろう。北京で奮闘するオリンピアンたちの活躍に横槍を入れる事態が、連日のように起きた。
日本勢でいえば、スノーボード男子ハーフパイプで初の金メダルを獲得した平野歩夢(23)の不可解判定が物議を醸した。決勝2回目で最高難度を誇るトリプルコーク1440を一度成功させたにもかかわらず、ジャッジが伸びなかったのである。彼自身、その怒りをバネに3回目で再び同じ大技を成功させ、審査員をギャフンといわせ結果を手にした。
対照的に、スーツの規定違反で失格の涙を流したのは女子スキージャンプの高梨沙羅(25)である。彼女を含む5人の選手が同じ理由で失格という異例の事態で、オーストリア、ドイツ、ノルウェーという強豪国ばかりが検査対象となった。運営側の裁量でランダムに行われるものとはいえ、中国はチェックを受けなかったと聞けばどうだろうか。
中国チームにはペナルティーが科されず……
スピードスケート女子1500メートル決勝でも、日本の高木菜那が中国選手と接触。アウトにいた高木が優先されるルールにもかかわらず、コースを譲らなかった中国選手は失格にならず、高木は8位に終わった。これには彼女も「さすがに相手が駄目なんじゃないか」と悔しさを滲ませたのだ。
何といっても開催国への批判が最も高まっているのは、唯一中国がメダルを期待できるといわれていたショートトラックだろう。5日の2000メートル混合リレーでは、準決勝のレースで米国とロシア勢のチームが突然ビデオ判定により失格。一方で選手間のタッチをしなかった中国チームはペナルティーが科されず、決勝へと駒を進めて金メダルとなったのだ。
[1/4ページ]