猫のコロナ大流行 乱立する「高額治療費クラファン」に杉本彩さんが感じる“懸念”
飼い主の責任
だが、杉本さんはクラファンの内容を調べていくうちに、「100万円」という金額に対して疑問を抱いたという。
「もちろん決して安い金額ではありません。人それぞれの経済事情があるとは思うのですが、100万円という金額は、ペットを飼う上で万一の場合に備えて考えておくべき出費ではないかと思ったのです」
杉本さんが昨年見送ったフレンチブルドッグの「きなこ」にかかった治療費は、そんな額ではすまなかったという。
「自然分娩でも生まれてこない人間の改良で生まれた犬種だったので、もともと虚弱な体質でした。高齢になってからは本当に大変で、呼吸を楽にする手術、がん治療、投薬、あらゆる検査費用などを合わせると、すさまじい出費でした」
ただ、杉本さんはかれこれ20年近く、「ペット貯金」を積み立ててきたので、想定外の出費にも対応できたという。だからこそ「100万円」の捻出に行き詰まり、助けを求めなければならなくなる飼い主の姿勢に違和感を覚えると語る。
「かわいそう」で安易に反応しないで
「ペットを飼われていない方でも、人間に置き換えてみればわかりやすいと思います。お子さんが保険適用外の病気にかかって、入院生活を送らねばならなくなる。その費用が100万円だったとしたらどうしますか? 誰もが生活を切り詰めたり、アルバイトをしたり、親戚にお金を借りたり、死に物狂いでお金をかき集めるのではないでしょうか。そんな時、クラファンのような知らない他人に助けを求める手法を考えないでしょう。もし、目標金額に達しなったらどうするつもりなのか? あきらめるのか? やはり、このような飼い主さんには、ペットを飼う覚悟と万が一の時の想定が足りていないのではないかと考えてしまうのです」
もちろん、猫がかわいそうだと思って寄付に応じてしまう善意の人を否定するつもりはない。ただし、動物愛護の世界における「かわいそう」に、安易に反応しないよう気をつけて欲しいとも訴える。
「動物愛護の世界では、残念ですが怪しい業者が入り混じり、動物愛護ビジネスを展開しています。自分たちの不要になった繁殖引退犬猫を保護犬猫と偽り、譲渡金を得ているような業者がいます。そのような業者の下請けとなり、寄付を募っている動物愛護団体も存在するのです」
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