サラ金で借りた250万円が5秒で2700万円に…FXで財産を失った4人の証言「合法だから大丈夫、が一番怖いんです」
14歳からパチンコ
新型コロナ禍で、ギャンブル依存症の当事者団体に増えてきた相談がある。一攫千金を夢見て手を出した仮想通貨投資やFX(外国為替取引)に関する相談だ。「少ない元手でより多くの資金を手に入れる」というギャンブルのような要素に惹きつけられて手を出し、のめり込み、そして資金を使い果たす。そこで終わればいいが、FXは短期で一発逆転も夢じゃない……。そんな無謀な夢にとりつかれた当事者は言う。「合法だから大丈夫、が一番怖いんです」――。【聞き手・石戸諭】
【写真】今、FXや仮想通貨投資の「依存症」に陥る人たちが増えている…はまったきっかけ、治療法、現在まで当事者たちの貴重な話
FXで財産を失った4人の当事者に集まってもらい、FXに手を出した経緯やギャンブル依存症の治療の経過、現在の様子などを聞いた。全員がギャンブル依存症の治療を受けている。簡単に紹介しておこう。
タナカさん:「ギャンブル依存症問題を考える会」代表理事・田中紀子さんの夫。競艇、パチンコなどあらゆるギャンブルに手を出した。ギャンブル依存症の治療中にFXにはまり込む。
ヒラヌマさん:14歳からパチンコを打っていた生粋のギャンブラー。30代半ばでFXに手を出し、ヤミ金からも借金を重ねたところで妻と離婚し、治療施設につながる。
Aさん(匿名希望):40代男性。リーマンショックで給料が減ったことにショックを受けて、FXに手を出す。借金を重ねた結果、妻にバレてしまい治療の道へ。
Bさん(匿名希望):30代男性。余裕があったため資産運用の一環でFXに投資。損を取り戻すために財産を使い、「軍資金調達」と称した借金も膨れ上がる。今は治療と借金返済の日々。
ハイリスク、ハイリターンが最大の魅力
最初に手を出した経緯は四者四様だ。まずは自己紹介も兼ねて、はまり込んだきっかけから語ってもらった。
タナカさん:僕は競艇にどっぷりはまって、パチンコ等々いろんなギャンブルに手を出しました。最初は横で見ていた妻もギャンブルにハマり出して、このままじゃダメだと2人で治療を受けることにしたんです。病的賭博と診断されて治療を始めた最中にFXで再発してしまいました。
FXはスマホでもできます。このときはふと思い出して、以前に作っていたFX用のアカウントにアクセスしたところ、口座に残金が残っていました。当時は口座を開設すれば1万円分のポイントがつくというサービスがあったので、これは得だなと開設していたんです。
FXの場合、レバレッジ(※元々の意味は「テコ」。1ドル100円の場合、手元の資金=証拠金が10万円でもレバレッジ25倍なら250万円までの取引ができる)もありますから、手持ちの資金が少額でも大きな取引ができます。高いレバレッジで取引できるところを選んでいましたが、短期でとんでもない額の数字が動くので、一気にのめり込みましたね。700~800万円はつぎ込んだと思うのですが……。厳密な額は覚えていません。
(為替の)数字の動きにあわせてボタン一つで売り買いでき、公営ギャンブルの何倍ものお金が動くというハイリスク、ハイリターンがFXの最大の魅力です。最初からFXはギャンブルだと思って手を出していました。
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