セコマ、ローソン、さくらみくら… 弁当チェーンを揺るがす「コンビニ」店内調理の秘密兵器は
スペースの問題
コンビニ各社の「店内調理」を可能にした背景には、調理機器の進化が関係している。セコマのホットシェフの場合は、海外まで探し求めたというスチームコンベクションオーブン(通称スチコン)がカギとなっている。スチコンは1台で蒸す、煮る、焼くといった複数の調理方法ができる多機能な加熱調理機器で、飲食店やホテルなど大量調理が必要とされる現場では一般的に使用されている。たとえば、世界シェア50%超と言われるドイツのラショナル社製スチコンは安いものでも180万円する。だが、茹でるためにお鍋、炒めるためにフライパン、揚げ物のためにフライヤーと複数の調理器具を設置する余裕がないコンビニにとっては魔法のような万能調理機器と言えるだろう。
「ローソンも『まちかど厨房』を軌道に乗せるまでに厨房スペースの確保をどうするかという壁にぶつかりました。実験段階ではライブキッチンを構えてフライパンで調理しているところを見せる案もありましたがうまくいかず、厨房設備もオペレーションもシンプルにおにぎりから始めるという逆転の発想で活路を見出した経緯があります」(渡辺広明氏)
現在の「まちかど厨房」は客から調理工程が見えないようになっているが、核となっているのは炊きたてごはんとフライヤーで作った揚げ物を組み合わせたかつ丼などのメニュー。「からあげクン」や「Lチキ」などホットスナックを販売するための標準設備となっているフライヤーと電子レンジ、カット野菜があれば弁当の製造は可能なのである。
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