セコマ、ローソン、さくらみくら… 弁当チェーンを揺るがす「コンビニ」店内調理の秘密兵器は
1月末、ローソンは店内で調理した弁当をUberで配達する「ゴーストレストラン」事業に参入すると発表し、業界に大きな衝撃を与えた。近年増える「店内調理」コンビニの裏側を、フードライターの適掃夫氏が取材した。
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【写真】ローソンの"NY飯"にセコマのカツ丼 コンビニの店内調理メニュー
「日本でナンバーワンの弁当チェーンは?」と聞かれたときに「ほっともっと」を頭に浮かべる人は多いだろう。実際、持ち帰り弁当の売上高トップは「ほっともっと」を展開するプレナスで、2位が「本家かまどや」、3位「ほっかほっか亭」のハースクレイと続く。首都圏では「オリジン弁当」や「キッチンオリジン」を運営するイオン子会社のオリジン東秀も目立つものの、同社の店舗網は関東と関西の10都府県のみ。店舗数で比較すると、「ほっともっと」が国内2489店(22年1月末時点)、「本家かまどや」が約2300店、「ほっかほっか亭」が919店舗(22年1月末時点)、「オリジン」は564店舗(21年2月末時点)と大きな開きがある。
「女性の社会進出や単身、共働き世帯の増加で中食市場は成長を続けてきましたが、新型コロナの影響で2020年は11年ぶりに惣菜市場が縮小したと、日本惣菜協会が発表しています。さらに出前館やUber Eatsの料理宅配代行サービスも急成長しており、弁当チェーンにとっては強力なライバルが増えていると言っていいでしょう」と話すのは流通アナリストの渡辺広明氏。
その証左とも言える地殻変動が、ローソンが始めた「ゴーストレストラン」だ。同社では朝食やランチの需要に合わせて店内で調理した弁当などを販売する「まちかど厨房」を2011年から展開しており、デリバリーサービスはその厨房設備を空き時間に有効活用することが狙いだという。
ここで冒頭の質問に戻るが、ローソンは既に全国約1万4700店舗のうち約8000店が「まちかど厨房」を備えている。だから、「まちかど厨房」を弁当チェーンと見なすなら日本最大はローソンということになるし、また北海道最大の弁当チェーンは「ホットシェフ」という店内調理で人気を呼んでいるセイコーマート(以下、セコマ)ということになる(約900店以上)。
持ち帰り弁当チェーン店とコンビニを一緒にすることに異論の声もあるだろう。だが、コンビニの「店内調理」弁当や総菜が、弁当チェーンと“胃袋争奪戦”をするのは必至だ。
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