感染すれば10万円の「コロナ保険」 感染者急増で取り扱い停止、保険料引き上げも
新型コロナ感染症にかかったらお金がもらえる「コロナ保険」が登場したのは、一昨年春のこと。月額数百円~千円前後(特約を含む)の保険料で、陽性判定を受けたら5万円~10万円前後の給付金が支払われるというものだ。第一生命や日本生命(いずれも子会社での販売)、損保ジャパンなどが次々と参入した。
保険アナリストの山野井良民氏が言う。
「新型コロナ感染症は従来の入院保険に入っていれば、ほぼカバーできます。しかし、コロナが上陸したばかりの一昨年は日本中がパニックでした。そこで、保険金の上限額などを定めた少額短期保険という制度を使って、コロナに限定した保険を発売する業者が現れた。どこかでヒットすればすぐ真似をするのが保険業界なので、あっという間に人気商品になったのです」
保険会社に大きな利益を生むはずだったが……
折しもコロナ禍で訪問営業が難しかっただけに保険会社にとっては「干天の慈雨」。対前期比50%の売り上げ増となる業者も現れた。しかし、保険は売る側の保険会社にとってもリスクがある。
「保険料というのは損害率を基にしたコストに安全率といわれる上乗せ料金を加えて決められる。それでも相手は自然災害や病気ですから、保険会社が損をすることもあります。コロナに関しても当初のアルファ株に比べオミクロン株では10倍以上の感染者が出ており、保険会社は真っ青になっているはず」(同)
いっぽうで、隔離療養の期間は短縮され、軽症以下は原則自宅療養となっている。20代~30代の多くが無症状・軽症で、家で寝ていれば治るケースがほとんどだ。そこに10万円を出すのだから、月々コーヒー代ぐらいの保険料では割に合うはずがない。
2月4日になって日本生命の子会社・大樹生命がコロナ保険の取り扱いを停止、第一生命の子会社も890円だった保険料を4倍に引き上げた。
その第一生命によると、
「当社の子会社が扱っている『コロナminiサポほけん』は、コロナの感染状況に応じて保険料が毎月見直される仕組みになっております」(広報担当者)
感染が収まれば、また安くなるというわけだ。もちろん、保険料の行方を知っているのはコロナウイルスだけである。