自公の「相互推薦」騒動で関係にヒビが 創価学会内に渦巻く不満の声とは
自公連立政権が誕生して以来、自民党の「下駄の雪」と揶揄され続けてきた公明党。ここへきて、ついに堪忍袋の緒が切れたようだ。
先月半ばに幕を開けた、今夏の参院選の「自公相互推薦」騒動である。
「そもそもの震源地は兵庫県選挙区。改選定数3の兵庫は、3年前の参院選で日本維新の会の候補がトップ当選、公明党が2番手で、自民党は3番手に甘んじた。維新が勢いを増すなか、焦った自民党県連が他党を応援する余裕などないとばかりに相互推薦に難色を示し、これに公明側が猛反発。先月15日にオンライン会合で山口那津男代表が推薦見送りの検討を表明したのです」(政治部記者)
公明党の態度に焦った岸田文雄総裁は遠藤利明選対委員長を兵庫に派遣し、県連を説得。県連側も矛を収め、事態は収束するかに見えた。ところが、
「今月6日に放送されたBS番組で山口氏が“自力で選挙準備を進める”と交渉決裂を示唆。自民側を突き放してみせたのです」(同)
「今回は一歩も引くつもりはない」
日に日に強硬さを増す公明党の姿勢。関係者いわく、
「山口さんの怒りはホンモノ。衆院選直後の10万円給付問題のときも、現金支給を主張する公明党がクーポンでもOKとまで譲歩したのに、自民党内の公明批判はやまなかった。党執行部にはこの件も教訓として残っていて、山口さんは“今回は一歩も引くつもりはない”と明言している」
自民党にとってなかなかタフな交渉相手だ。
「兵庫の自民党は相互推薦を認めましたが、あくまでも“渋々”。これでは十分な選挙協力なんてできるはずがない。自民党側が公明党に有利な具体案を示すまでは、拳を下ろすつもりはないのでしょう」(同)
一方、公明党の支持母体である創価学会を長年取材してきた雑誌「宗教問題」編集長の小川寛大氏は、今回の騒動をこう読み解く。
「昨年の衆院選で公明党は比例票800万票を目標に掲げましたが達成できず、すでに学会票は頭打ち。勢力を維持するためには選挙区で安定して議席を確保するしかありません。ところが、近年の選挙では自民党の業界団体票が先細りし、学会には自分たちばかりが組織を動員させられているという不満も渦巻いている」
このままでは公明党の命綱ともいえる地方議会選挙の安定勝利もおぼつかなく、
「来年の統一地方選を見据え、自民に対してネジを巻く必要があった」(同)
自公ともに険しい表情の神経戦は続く。