巨人を待ち受ける“不吉なジンクス” 過去6回の寅年に何が起きていたのか
今年も開幕が待ち遠しいプロ野球。読売ジャイアンツのリーグV奪回なるかが注目点のひとつだが、実は「2リーグ制になって以降、寅年に優勝したことがない」という“不吉”なジンクスがある。寅年以外はすべて優勝しており、今年優勝すれば“十二支コンプリート”になる。過去の寅年では、何が起こっていたのか。
現在のような2リーグ制となったのも、1950年の寅年だった。新たなスタートを切ったプロ野球界で是が非でもリーグ優勝を成し遂げたい読売は、投の中心にこの年日本プロ野球史上初の完全試合を達成する藤本英雄、打の中心に“打撃の神様”こと川上哲治が4番に君臨し、投打に豊富な人材がいた。シーズン序盤は松竹ロビンス(現在の横浜DeNAの前身の1つ)・中日ドラゴンズと激しい首位争いを展開。しかし5月に大きく負け越すと上位2チームを追いかける力は残っておらず、首位から17.5ゲームも離された3位に終わってしまう。惨敗だった。
結局、セ・リーグを制したのは松竹だった。パ・リーグ初代王者の毎日オリオンズ(現在の千葉ロッテの前身の1つ)と争った記念すべき第1回の日本シリーズは、2勝4敗で松竹が敗退、初の日本一を逃している。
次は62年。前年の読売は川上監督就任1年目にしてリーグ優勝と6年ぶりの日本シリーズ制覇を成し遂げていた。V2を狙うチームは開幕から阪神タイガースや大洋ホエールズ(現・横浜DeNA)と激しい首位争いを展開。7月に入ると入団以来長く伸び悩んでいた王貞治が一本足打法をマスターし、本塁打を量産していく。しかし夏場以降は前年優勝を争った中日に抜かれて4位に落ちると、阪神・大洋とのゲーム差は広がるばかり。投手陣のチーム防御率2.47はリーグ2位ながら駒不足が目立ち、打撃陣も本塁打王と打点王の2冠に輝いた王貞治など主軸打者は奮闘したが、それ以外は低調に終わった。最後は首位から8ゲームも離される4位がやっとで、47年以来15年ぶりにして2リーグ分裂後初のBクラスに転落している。
優勝は2リーグ分裂後、初Vを果たした阪神だった。パ・リーグも初優勝を飾った東映フライヤーズ(現・北海道日本ハム)となった。日本シリーズは4勝2敗1引き分けで東映が制し、初の日本一に輝いている。
[1/2ページ]