炎上参加者はどんな人間? 利用者の0.5%しかいない? 大規模調査で見えた意外な“素顔”とは

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多数の炎上に参加する「スーパーセブン」

 続いて、私たちは約4万人を対象に、同様の調査を行いました。この調査でも、「過去1年以内の炎上事件について、書き込みをしたことのある」人の割合は、0.7%に留まっています。

 特筆すべきなのは、この0.7%の中に、「過去1年で、11件以上の炎上に参加し、1件あたり51回以上書き込んだ」という人が7人だけいたこと。これを「スーパーセブン」と名付け、プロフィールを調査したところ、年収は100万円前後の非正規雇用者から1500万円の会社経営者まで、学歴も高卒から大学院修了まで、男女比も未婚・既婚もそれぞれで、やはり従来のイメージに近い人は出てきませんでした。

 しかし、注目すべきは、その「性格」です。「今までの人生で出会っただいたいの人には感謝している」「人と話していて、ひょっとして自分が間違っているのではと思うことがしばしばある」など、性格を表す16項目を用意し、それについて自身が当てはまるかどうかを回答してもらいました。すると、「スーパーセブン」は、以下の項目で「はい」と答える割合が有意に高かったのです。

〇世の中は根本的に間違っていると思う

〇自分は周りの人に理解されていないと思う

〇ずるい奴がのさばるのが世の中だと思う

〇努力は報われないものだと思う

〇相手の意見が間違っているなら、どこまでも主張して相手を言い負かしたい

〇罪を犯した人は世の表舞台から退場すべきだ

〇これまでの人生で自分を陥れた人がいる

正義感が強く、世の中への否定的な感情が強い

 すなわち、正義感が強く、世の中への否定的な感情が強い人たちです。一般的に言えば、「友達になりたくない人」と言えるかもしれません。一方で、この「スーパーセブン」に「人生は自分の理想に近いか?」と問うと、評価は他の人と比べてそう変わらなかった。自尊心が低いわけではないのです。こうした人たちの意見が、その人数に比して特異なほど多数、目立ったところに現れるのが、ネットの世界の構造です。

 以上をまとめましょう。ネット空間では、穏健で中庸な大多数のユーザーは、書き込みをしない「サイレント・マジョリティー」になる。一方で、ごく少数の、主張が極端で、特定の性格を有するユーザーは、閲覧頻度の高いところに多数の書き込みをしている。

 こうして現実の世論の写し鏡ではなく、少数の主張が虫眼鏡を通して見るように拡大されて現れるのが、「ネット世論」というものの実態なのです。

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