炎上参加者はどんな人間? 利用者の0.5%しかいない? 大規模調査で見えた意外な“素顔”とは

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穏健派が委縮してしまう

 更には、「まとめサイト」による拡散も大きく働きます。まとめサイトとは何か事件等が起こると、それに関する書き込みのリンクを張ったり、経緯をまとめ、わかりやすく伝えるサイトです。このサイトは広告収入が目的なので、ビューカウントを増やすため過激な書き込みを好んで集めようとする傾向にあります。そのため、まとめサイトは、ごく一部の人が書いた非常に攻撃的な書き込みばかりになってしまい、それらが多くの人の目に触れることとなります。

 こうした仕組みによって、ネット上には、両極端の強い意見が目立つようになります。

 すると、中間に位置する穏健派が発言をためらうようになってしまう。「ネットは自由にモノが言えるところだと思うか」「自分はネットで自由にモノを言っていると思うか」。この2点を問うた私たちの調査では、その「萎縮効果」がはっきりと出ました。前者に「はい」と答えた人が39%であったのに対し、後者に「はい」と答えた人は9%に過ぎませんでした。これはすなわち、ネット上では、強い意見を持った急進的な人は思うままに発言していること、それに対して、大多数を占める穏健な人はそこまでできず、黙りがちになっているという状況を表しています。こうして掲載の図のように、ネット上では現実と比べ、両極端の意見が大きな位置を占めることになってしまっている。ネット利用者の意見は分極化していませんが、意見の表れ方が偏るといえるのです。

年収が高く、若い子持ちの男性

 では、こうした両極端の意見の書き込みを行う「ヘビーライター」とは、一体どのような人たちなのでしょうか。

 書き込む場所はあまりに多様にあるので、これを調べることはなかなか難しい。そこで、誰かの言動に対して誹謗中傷や批判的な意見が集中する現象――いわゆる「炎上」事件に絞って、その属性を分析してみます。

 まずは、約2万人を対象に、「過去1年以内の炎上事件について、書き込みをしたことがあるか」と尋ねてみると、「ある」と答えた人の割合は、わずか0.5%ほどしかいませんでした。

 また、「過去1年以内」だけでなく、「過去に一度でも炎上事件で書き込んだことのある人」に広げて、これらの「炎上参加者」の性別や年齢、収入など、そのプロフィールを調査してみました。すると、統計的に有意な変数を持って浮かび上がってきた人物像は、年収が高く、若い子持ちの男性というものでした。

 一般に、ネットに多く書き込む人といえば、「低所得者などの社会的弱者」「ひきこもり」「学歴が低い」「独身」などが多いといわれていますが、これはそのイメージを覆すものです。

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