炎上参加者はどんな人間? 利用者の0.5%しかいない? 大規模調査で見えた意外な“素顔”とは

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現実の人数分布と、書き込み数の分布の乖離

 これらの結果からわかるのは、我々がネットで目にする「憲法9条改正」についての書き込みのうちの半分は、わずか0.23%の人の発言で占められてしまっている、ということ。そして、「原発問題」「安倍政権への評価」についても、ほとんど同じような調査結果が出たのです。

 それでも、これら「ヘビーライター」の政治傾向が平均的であれば、ネットで表明される意見に偏りは起きないはずです。しかし実際は、政治傾向による人数の分布と、表明された意見の分布との間には、大きな違いが現れました。「憲法9条改正」について、「強く賛成」「賛成」「やや賛成」「どちらでもない」「やや反対」「反対」「強く反対」の7項目を設け、調査対象者の政治傾向を調べると、「強く賛成」あるいは「強く反対」するという人の割合は、計約21%となりました。しかし、書き込み数で見ると、「強く賛成」あるいは「強く反対」する人の意見は計約45%にも上ります。現実の人数の分布に対し、書き込み数の分布では、「強い」政治傾向を持つ人の意見が約2倍も多く出ている。これはやはり、より「強い」政治傾向を持っている人が、積極的に書き込みをしているため、と考えられます。

マスコミはオブラートに包んで発信

 これは、私たちの経験からしても十分に想像できることです。リアルの世界でも、主義主張が「強い」人ほど、自らの意見を熱心に述べるものです。

 例えば、新聞には投書魔といわれる人がいます。新聞の投書欄に繰り返し自分の意見を投稿する人で、中には政治的に極端な意見の持ち主もいるはずです。また、デモに参加する人の中には、強い政治的意見の持ち主で、かなり激しい言葉で繰り返し攻撃的な主張をする人もいたでしょう。

 しかし、新聞は、投書魔の主張のうち、極端なものを採用することはなく、大勢の読者に共感可能な、穏健なものを選んでいます。また、テレビがデモを報道する時でも、過激な言動は省略し、穏やかに、オブラートに包んで放送します。マスコミが多くの平均的な国民を相手にする以上、当然といえるでしょう。「死ね」「くたばれ」などの表現を聞くのは、デモ隊の近くにたまたまいた数十人に限られます。

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