ジェフ・ベゾスの巨大ヨットを通すために橋を解体? オランダでは激しい反発が

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 ウクライナ問題で緊迫する昨今の欧州情勢。ところが目下、彼の地で話題を攫っているのは、オランダのロッテルダムで勃発した、ヨットを巡る珍騒動だそう。

 オランダ在住のジャーナリストがいう。

「今月3日、ロッテルダム市が“アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が建造したヨットを通すため、街にかかるコーニングスハーフェン橋を一時的に解体する”と明らかにしたのです」

 なぜヨットのために、といった疑問が浮かぶが、いやいや侮るなかれ。

「ベゾス氏が発注したのは高さ40メートル、全長127メートルというとてつもなく巨大なヨット。建造費は日本円でおよそ567億円という桁違いのシロモノなんです」

 ベゾス氏は造船会社を通じて、橋の解体費用の負担も申し出ているというが、

「なにせ、この橋は1927年に完成し、ナチスドイツによる空襲も生き延びた国定記念物。改修を重ねながら受け継がれてきた街のシンボル的存在で、解体には市民からの反対も相次いでいる。フェイスブック上では完成したヨットに生卵を投げつける運動まで呼びかけられているくらい」

ベゾス氏の姿勢に反発か

 さらに、ベゾス氏に対する市民の怒りが収まらないのには、こんな事情も。

「ロッテルダムは欧州最大の港湾都市で、街の主役も港湾労働者。彼らは勤勉なことで知られ、オランダには“ロッテルダムが稼ぎ、アムステルダムが浪費する”という言葉もある。ベゾス氏の“カネならいくらでも積む”という姿勢が反発を買ったのもうなずけます」

 ちなみに、ベゾス氏のヨットを手掛けたのは、モナコ公国に営業拠点を置く造船会社「オーシャンコ」。ロッテルダムの上流にある同社の造船所に、その見解を尋ねると、

「世界中のマスコミから取材が殺到しています!」

 と言いつつも、

「ヨット建造用のドックは新たに二つに増えました!」

 これまで30隻近い巨大ヨットを世に送り出し、ベゾス氏の後には、全長140メートル級とさらに大型のヨット建造ももくろむ同社。

 橋のことを気にする素振りなど微塵もなく、騒動は長引きそうな雲行きである。

週刊新潮 2022年2月17日号掲載

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