「さんま御殿」でも笑いを取れず……今思い出す「林家三平」の豪華すぎた襲名披露公演

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兄弟の差

小朝:21世紀最大の無駄遣いにようこそ!

 結局、兄弟2人ともお坊ちゃんだったことがよくわかる。

「三平の場合はこの後、女優の国分佐智子と結婚しましたが、結婚披露宴も帝国ホテルで大々的に開催されました。この時も豪華ゲストが招待され、昭和の芸能界の絵巻物でも見るようでした」

 ところが今や、兄の評価はすっかり変わった。

「兄の9代目正蔵も、こぶ平時代に『テレビ探偵団』(TBS)でお茶の間の人気を得て、『モグモグGOMBO』(日本テレビ)ではヒロミのイジられ役でした。しかし、05年の正蔵襲名後は落語に打ち込み、今や国立劇場でも独演会が開けるほどになった。もちろん、大ネタや人情話ばかり演じる彼に対して、滑稽話やギャグの林家らしくないという声もあります。正蔵は父のようにはなれないと悟ったから、人情噺へ行ったのかもしれません」

 三平もスタートはテレビだった。

「当初はホリプロに所属していました。兄より可愛げがあってイケメンでしたから、初代三平を知る視聴者には息子のように思えたでしょう。『めざましテレビ』(フジテレビ)や『ルックルックこんにちは』(日テレ)のリポーターで人気になりますが、それ止まりでした。『水戸黄門』(TBS)の“ちゃっかり八兵衛”を演じて、共演した国分を射止めたくらいしか印象にありません。結局、彼はフワフワした2代目のまま、51歳になってしまいました」

 冒頭で紹介した「さんま御殿」では、親としての子育てエピソードではなく、今も自身がお坊ちゃまであることを示していた。

「今にして思えば、実力のないまま人気番組『笑点』に出演するのは重荷でしかなかったかもしれません。この世界で生き残るには、今後はむしろダメな2世キャラを貫いたほうが良いかもしれません。昭和の爆笑王を知る人もどんどん減っていますからね。初代のギャグ『どーも、すいません』を言ったところで知らない人がほとんどでしょうから、先行きは暗いと言わざるを得ません。救いといえば、愛妻家であることと、めげないというか深く考えない性格なことでしょう」

デイリー新潮編集部

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