元公安警察官は見た 検挙はたった6件…見えにくい中国スパイ活動のトンデモない実態

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米軍基地周辺に中国のスパイ

 汪が警視庁に逮捕されたのは1976年1月のこと。

「汪を逮捕できたのは、貿易業者からタレコミがあったからです。逮捕容疑は外為法違反でした。機密情報を盗んだというのではなく、貿易上の申告がなかったためです」

 諜報活動が摘発されたこともある。1987年5月に発覚した「横田基地中ソスパイ事件」である。

「横田基地の図書館で働く日本人職員が8年間に渡り、中国人の貿易会社社長らに秘密指定されている在日米軍の戦闘機や輸送機のテクニカル・オーダー(技術指示書)を売却。それを中国人社長は中国やソ連大使館員に転売していたのです」

 図書館員や中国人社長らは1987年5月、窃盗容疑で逮捕された。

「横田基地の近くにあるバーや居酒屋には、中国情報機関の協力者となった日本人がたくさん出入りしていると言われています。米軍基地の職員とわかると何気なく名刺交換して知り合いになるんです。意気投合すれば、米軍情報を聞き出します。逮捕された図書館員は、小遣いが欲しくてそんなことをやっていましたが、中国人社長からはいいように利用されていたということです」

 横田基地や厚木基地周辺では、今でも中国が諜報活動を行っているという。

「検挙される件数こそ少ないものの、1990年以降中国は、エンジン音やスクリュー音の小さい日本の潜水艦技術を狙って水面下で諜報活動を行っているのです」

デイリー新潮編集部

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