コロナ、薬物、後遺症… 米国「生産人口年齢」の劣化が招く世界規模のインフレ

国際

  • ブックマーク

「米国で大退職時代が到来している」と日本でも話題になっている。

 昨年、毎月平均で約400万人の米国人が自発的に仕事を辞めているからだ。

 米労働省によれば、昨年12月の非農業部門の求人件数が1090万件を超えたのに対し、採用数は620万件余りにとどまった。有効求人倍率は約2倍に上る。

「賃金インフレになる」との懸念が生じているものの、米国の労働者が多くの選択肢を手に入れ、より高い給料の仕事を見つけて転職できる環境になったと言うこともできる。

 米国の労働市場で劇的な変化が起きていることはたしかだが、このことに新型コロナのパンデミックが大きく関係していることは言うまでもない。

 飲食や小売りなどの接客業で離職の動きが顕著であることから、「労働者が顧客との接触による感染を恐れ、職場から退避している」と指摘されている。

 米国の新型コロナによる死者数は90万人を超え、世界最多だ。死者数はスペイン風邪(約68万人)や第二次世界大戦(約40万人)を既に上回っている。

 コロナ禍による死亡増などで昨年の米国の人口増加率は前年比0.1%増の約39万人にとどまった。スペイン風邪と第一次世界大戦の影響を受けた1918年以来の低さだという。

 多くの米国人が自身の生命の危機を身近に感じており、こうした世相を反映して「人生は一度きり」という言葉が流行語となっているという。仕事を辞めて本当にやりたいことに打ち込んだり、ワークライフバランスを見直そうとしている。

次ページ:後遺症が経済に与える悪影響

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。