阪神・藤浪晋太郎、今年こそ完全復活なるか…「阪神OB」と「野球動作解析スペシャリスト」の見解は?

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ポテンシャルの高さはトップクラス

 昨年は前半戦快調に首位を走りながらも、ヤクルトに競り負けて2位に終わった阪神。キャンプイン前日には矢野燿大監督が今季限りでの退任を発表し、“有終の美”を飾るために、虎ファンは今年こそ優勝を願っている。阪神優勝へのキーマンの1人と言えるのが、藤浪晋太郎ではないだろうか。【西尾典文/野球ライター】

 新人から3年連続二桁勝利を記録するなど将来のエースとして期待されながら過去5年間は3勝、5勝、0勝、1勝、3勝と低迷が続いた。昨年は開幕投手を任されて、4月中に2勝をマークしたものの、それ以降は不安定な投球が続き、リリーフでも結果を残すことができなかった。

 その一方、一昨年は自己最速を更新する162キロ、昨年10月には161キロを記録している。日本ハムの新庄剛志監督が獲得を熱望する発言をするなど、藤浪が持つポテンシャルに高さは、球界全体でトップクラスであることは間違いない。

難点はコントロール

 そんな藤浪の難点と言えば誰もがコントロールと答えるはずだ。昨年は、48回1/3を投げて、与えた四死球が44を数え、暴投はリーグワーストとなる8を記録している。

 しかしながら、プロ入り当時の藤浪は、制球に大きな課題を抱えていたわけではない。高校3年夏の甲子園では4試合を完投し、36回を投げているが、与四死球は9という数字が残っている。また、ルーキーイヤーの2012年も137回2/3を投げて与四死球は46。1試合あたりの与四死球率に直すと、3.00と決して悪い数字ではない。ドラフト制度ができてから、高卒1年目に二桁勝利をマークしたのは藤浪が7人目だが、それ以前の6人のルーキーイヤーの与四死球率を並べてみると、以下のような数字となっている。

堀内恒夫(巨人): 3.63(181回を投げて与四死球73)
森安敏明(東映):3.55(207回2/3を投げて与四死球82)
鈴木啓示(近鉄):2.57(189回を投げて与四死球54)
江夏豊(阪神):3.55(230回1/3を投げて与四死球91)
松坂大輔(西武):4.75(180回を投げて与四死球95)
田中将大(楽天):3.62(186回1/3を投げて与四死球75)
※所属は当時、与四死球には敬遠は含まない。

 これを見ても、高卒ルーキーの投手としては、藤浪の制球力が決して低くないことがよく分かるだろう。では、現在の藤浪がコントロールに苦しんでいる要因はどこにあるのだろうか。

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