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東京芸大大学院映画専攻が悲願達成

 これにより、2005年に開設された東京芸大大学院の映画専攻は、1つの目標を達成した。同大学院は黒澤明、小津安二郎クラスの世界的映画人を養成するためにつくられたのだ。

 教授は前出・黒沢氏のほか、「大豆田とわ子と三人の元夫」(フジテレビ系)などを書いた脚本家の坂元裕二氏(54)らが務めている。指導陣、設備ともに国内最高レベルを誇る。

 OB・OGには真利子哲也氏(40)や鶴岡慧子氏(33)ら監督が何人もいるほか、脚本家やNHK、民放のテレビマンとして活躍中。残された悲願は世界が認める人材をつくることだった。

 濱口監督は東大文学部を卒業後、映画の助監督などを経験。その後、芸大院に入った。後に続こうとする映画青年たちが芸大院の門を叩くことだろう。

 アカデミー賞の発表と授賞式は3月27日。映画業界は「作品賞など複数の賞が獲れるのではないかと沸いている」(前出・映画ライター)という。

 コロナに打ちのめされた映画業界の光となるか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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