快挙の「ドライブ・マイ・カー」 三浦透子と「カムカムエヴリバディ」の奇しき縁
紅白にも出演
2019年にはNHK紅白歌合戦にも出場。新海誠監督(49)によるアニメ映画「天気の子」の主題歌をRADWIMPSと歌ったことから、やはり同バンドと「天気の子 紅白スペシャル」を歌った。歌手活動は現在も継続中。高い歌唱力と幻想的な声で人気がある。
ちなみに新海監督の娘は新津ちせ(11)。そう、ひなたの幼少期を演じた子役だ。三浦と「カムカムエヴリバディ」は奇しき縁がある。
「ドライブ・マイ・カー」は女優の妻・音(霧島れいか、49)に先立たれて喪失感を抱えていた俳優兼演出家の家福(西島秀俊)が、チェーホフの劇をつくりあげることを通じ、希望を見出す物語。三浦は西島の運転手・みさき役を演じた。どこか達観した女性で、家福を再生に向かわせる存在でもある。
家福はみさきと会話を重ねることにより、妻の死と向き合えるようになる。一方、実はみさきも重く複雑な過去を背負っていた。原作が村上春樹氏(73)の同名小説なのは知られている通りだ。
映画に拘った西島の俳優生活
西島は俳優生活30年。近年はドラマ出演が多いが、根っからの映画好きで、空き時間が出来ると、ふらりと1人で映画館に入るほど。主演映画も24本を数える。
難関の横浜国立大工学部を中退し俳優になったのも映画業界で生きてゆきたかったから。それだけに今回の快挙は感慨深いに違いない。
本格デビューは1992年。大手芸能プロの渡辺プロダクションに所属した。翌1993年にはフジテレビの連続ドラマ「悪魔のKISS」と「あすなろ白書」に出演し、たちまち売れっ子の仲間入りをはたす。
だが、1997年に別の芸能プロへ移籍。若者向けドラマへの出演が続く一方、思うように映画出演が出来なかったからだ。
移籍後は仕事が激減。1998年から2001年までは民放ドラマに実に1本も出演していない。所属芸能プロの力量が違った上、民放が移籍組の出演を敬遠するのはいつの時代も同じだ。
後に西島は移籍の理由をこう振り返っている。
「このままだときっと映画には出れないんだって思い込んでしまったんです」(『西島秀俊―新世紀のスピリチュアル・アクターズシリーズ』キネマ旬報社)。
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