「今日みたいに最速で振り込めよ」「解約で5億くらい損が」「契約書に拇印も押すからそれが身分証」1億1500万円詐欺男の口座が凍結されるまで【銀座ホステスの告白】(その3)

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フェイクの誕生日を祝う

 その後の3月30日、岡容疑者は約束通り、良子さんの口座に配当金として1000万円を振り込んできた。感謝する彼女に「やっぱりお金が全てだと完全に思っちゃったのと、神になりたかったからかな?笑」(LINEの文面)との言。

 他方、1000万円クラスのロレックスの画像を送り付け、「これどう思う?」と尋ね、良子さんの反応が鈍いと、「良子ってケチだよね。こないだ振り込んだ1000万あるのに使わないんだ」と恩着せがましく言ってきた。このうち265万円は岡容疑者の時計代に消えたとも言えるのだが、お構いなしだった。

 4月3日は岡容疑者のバースデー。と言っても後になってフェイクだということがわかるのだが、2人は京都のパークハイアットで過ごした。「言われていた誕生日を共に祝うことができて独身だと改めて信じた」という良子さんはこの際に500万円を岡容疑者に渡している。

 相前後して、1日に100を超えていた岡容疑者からのLINEメッセージの頻度は明らかに下がり、愛をささやくことも極端に減っていく。「不安感が強い」と精神的な不調を訴え、以前のようにFXができなくなったと言い、案の定というか、4月分の振り込みはなく、良子さんは不信感を募らせていく。

振込は遅れ、約束の金額に程遠く

 法人税や住民税などの支払いに窮していることを伝えると、「早く会いたすぎるよ。大きいの(投資案件)終わるまで満足行く金額じゃないかもしれないけど、許してくれるかな?」とのメッセージ。5月15日に振込はあったものの、320万円と約束の700万円には程遠い。

 5月31日、京都にやってきた岡容疑者はたった2時間の滞在で東京へ戻った。カネの話はエスカレートして「母親名義の1億円の預金を投資に使えないか?」と迫られ、あまりのしつこさに「母が全部使った」とかわしたという。

 5月分の振込もなく「両親の治療費などもあるため頂くのは難しいでしょうか?」とメッセージを送ると、「全部返金するのでお別れしたい」と返信がきた。6月4日のことだ。フェイドアウトの可能性が現実味を帯びてきた中、良子さんは3日後の7日に地元の警察署に相談を持ち掛けた。

 一方で、連絡が途切れないようにすべく、「やり直したい」旨を岡容疑者に向けると、彼は「あと5000万円ない?良子が母親にプレゼントした実家を売ったらいいじゃん。それならFXで余裕を持って稼げる。デカいの入ってきたら良子に10(億円)渡して本当は辞めたい」などと伝えてきた。試してみたい投資案件で150億円儲かるという青写真を描いていたようだ。

 そんな中で迎えた6月10日、岡容疑者は「怖すぎるんだけど口座も凍結されて、詐欺の疑いがあるって言われたんだけど、これって何なの?」(LINEの文面)と伝えてきたのだった。(その4へ続く)

デイリー新潮編集部

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