「今日みたいに最速で振り込めよ」「解約で5億くらい損が」「契約書に拇印も押すからそれが身分証」1億1500万円詐欺男の口座が凍結されるまで【銀座ホステスの告白】(その3)

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身分証の提示を拒否

 突然の豹変ぶりに不信感を抱いた良子さんに、岡容疑者は、「不安なのは俺も同じだ。今回の投資プランを組むにあたって投資先を損切りすることになったが、そういった不安な気持ちは一切伝えないようにしている。全ては善意で、好きじゃなかったらやるわけがない」といった内容の長文のメッセージを送ってきた。

 良子さんは謝罪し、この日2人は京都のホテルグランヴィアで落ち合うことになった。部屋に入ってから岡容疑者の説得が始まる。

「良子のために自分の投資を解約して5億くらい損が出ている。今さら辞めると言われて、この5億を補填できるの? 払って欲しいと言っているわけではなく俺はそのくらいの覚悟で取り組んでいる。FXで2500万円の損失が出ているから不安なのもわかるが、月に700万円の配当を4か月でも受け取ればむしろプラスになるんだよ」

 岡容疑者から「契約書、元本保証、毎月必ず700万円の配当、辞めたくなったら即返金する」と念を押されたのに加え、投資信託を解約したことで不労所得がなくなり、FXでは2500万の損失がでており、「誠意」のための時計に265万円を費やしてしまっていたので、良子さんとしても「今さら後に退けない」という思いがあった。実はこの時、身分証の提示を求めたのだが、岡容疑者は「もう婚約もしてるのに? 愛が消えるからやめようよ! 契約書に拇印も押すからそれが身分証だよ」と拒絶したという。

 この時に結ばれた契約書の岡容疑者の氏名と住所は偽のもので、有印私文書偽造容疑でも逮捕されることになった。

「また今日みたいに最速で振り込めよ」

 2人はそのままホテルに宿泊し、肉体関係を持ったが、それ以降、そういった関係になることはなかった。明くる日、FXの解約金が口座に入金されるのを待ちつつ周辺を散歩する中で、「明後日もまた(父親の経営する会社がある)名古屋に行くんだ」と岡容疑者。出張が多いことに労いの言葉をかけると「家柄も良くて、ちゃんとしてて投資も上手で。俺、神だからね」と話したという。

 結局その日は口座に入金されず、2人は別れた。17日になってFXの2500万円分が良子さんの口座に反映されたことを受け、そこから1500万円を岡容疑者の口座に振り込んだ。

 岡容疑者からは「確かに振込されてました!! 確認しました!」「良子もちゃんとやることやってくれてる。お互いどんどん信用を増やして安心して欲しい。とにかく今月からの不労所得期待してて」「まぁ俺がどれだけすごいか見てて」「とにかく月末から期待しててね」「多分1000(万円)手前いけるかも。23,24日に投資信託の解約分が返ってきたら、また今日みたいに最速で振り込めよ」などといったメッセージが送られてくる。

 良子さんが所用で東京に行った時も、「今日は帰ったらFXやるから会えないかも」「良子の為に今月は全て金儲けですが」との理由で会えず。本当にFX投資に向き合ってくれているものと思っていた彼女の元に3月25日、投資信託の解約金約1億円が入金され、これを岡容疑者に振り込んだのだった。

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