元メジャーリーガーが「浪人の道」へ…NPBからのオファーを待ちつづけた男たち

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運の占める要素も

 NPB復帰は、運の占める要素も大きい。コロナ禍の影響で、契約最終期限が9月30日まで延びたことが、幸運につながったのが、20年に四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズからヤクルトに入団した歳内宏明だ。

 阪神時代に57試合登板、2勝4敗4ホールド、防御率4.15の成績を残した歳内は、19年オフに戦力外通告を受けたあと、香川入り。20年シーズンでは、9試合に登板して5勝0敗、防御率0.42と段違いの実力を発揮したことが決め手となり、9月上旬、シーズン中の投手陣強化が急務となったヤクルト入団が決まる。

 そして、NPB復帰後、3度目の先発となった10月1日のDeNA戦で7回を5安打無失点に抑え、阪神時代以来1829日ぶりの白星。「いろいろな人に支えてもらって、今があると思う」と感激に浸った(※1)。

 昨年は広島を自由契約になった小窪哲也が、九州アジアリーグ・火の国サラマンダーズを経て、代打陣強化を図るロッテに入団。9月9日のNPB復帰初戦、オリックス戦で本塁打を放っている(※2)。

 今度は、秋吉を再びNPBの舞台で見られる日を心待ちにしたい。

※1=歳内は21年シーズン、1軍登板がなく、同年10月に2度目の戦力外通告を受けて現役引退。その後、古巣・阪神の球団職員として採用され、タイガースアカデミーのコーチに就任した。

※2=小窪は昨季限りで現役を引退し、古巣・広島の1軍の内野守備・走塁コーチに就任した。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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