スマイルジャパン ベテラン「久保英恵」、絶好調の「床姉妹」…注目選手を一挙紹介

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床姉妹の活躍

 今大会、絶好調なのが、床亜矢可(27)、秦留可(はるか、24)姉妹。なかでも妹の秦留可はこの日、2ゴールだ。姉・亜矢可のアシストもあった。デンマーク戦は姉妹で得点した。平昌五輪から姉妹で五輪の氷に立っている。

 テレビを見ていたら懐かしい顔が映っていた。床姉妹の父、床泰則さん(60)である。その昔、筆者が通信社で日本リーグを取材していた頃の西武鉄道(後に廃部)の名DFである。釧路に赴任歴のある筆者は当時、記者席から十条製紙(現・ひがし北海道クレインズ)を応援していたが、十条の攻撃陣は床選手の巧みな防御にしょっちゅう阻まれていた。長野五輪にも選ばれている。
 妻はテニスのインストラクターとか。姉妹の運動神経がいいはずだ。

 アイスホッケーはラフプレーなどで反則すれば2分間の退場となる。人数で優位に立つ側がパワープレー、不利な側をキルプレーと呼ぶ。パワープレーで点を入れられれば退場者は氷上に戻れる(別の選手でもよい)。

 リーチも長く、パックに届く長いスティックを使える欧米選手は日本人選手よりも有利には違いないが、大柄な彼女らにはやりにくい面もある。さほどの体当たりではないと本人が思っても、小柄な大和撫子が吹っ飛んで反則退場を取られるからだ。スマイルの小山玲弥は何と147センチという華奢な体躯なのだ。

 男子は「ボディチェック」という体当たりが基本的に認められているが女子は禁じられている。日本はスウェーデン戦で相手の反則退場のパワープレーでのパス回しから先制ゴールを決めていた。チェコ戦でも相手の二人が同時に退場する大きなチャンスを生かした。

 ちなみに男子は、長野以来、五輪に縁がないが、やはり体格差が歴然と出る。もしサッカーにファウルがなければ、日本イレブンも欧米選手にはひとたまりもないだろう。

アイスホッケーの盛り上がりに期待

 さて、大会が始まるまでアイスホッケーだけはあまりにも報道がなく筆者はいらいらしていた。神戸だからかと思ったが東京でも報道はさっぱりだった。札幌時代、一緒にホッケーを楽しんだ北海道放送(HBC)の友人に「他の競技はこれでもかと言わんばかりに報道しているのにアイスホッケーだけ全く見ない。一体どうなってるんだ」と電話した。「北海道ではある程度出ているけど」と話していた。その後、友人は少ない事前の紹介番組を教えてくれたが、五輪開催直前だけだった。日本アイスホッケー連盟は北海道で報道されるだけに満足せず、もっと広報努力をしてほしい。良くも悪くもスポーツの人気は広報次第なのだ。
 日本リーグを継承した男子のアジアリーグなどほとんど報じられず危機的状況だ。

 冬季スポーツの人気は近年、カーリングや新しい雪上競技に奪われてしまった中、アイスホッケーはせめて女子だけでもと期待している。選手はフェイスガードをしていてわかりにくいが、女優と見紛う美女もいる。

 ジャンプの高梨沙羅やフィギュアの羽生結弦など不運が続くが、スマイルジャパンについていえばコロナウイルスもちょっと味方してくれたかもしれない。初戦のスウェーデンは一番手キーパーがコロナ感染で出られなかった。

 次は2月12日の準々決勝でフィンランド戦である。以前、札幌市で取材していた女子全日本選手権で決勝点を決めた大澤ちほのスピードには仰天したことがある。テレビで見た大澤の大腿部の筋肉(タイツ越し)はすごかった。キャプテンの大爆発も見たい。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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