阪神・矢野監督が早くも退任表明…事実上、今季限りと決まっていた悲運の監督3人

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「ここで長く指揮をとりたい」

 就任4年目を迎えた阪神・矢野耀大監督が、キャンプイン直前に今季限りでの監督退任を発表し、関係者やファンの間で大きな論議を呼んでいる。開幕前の監督自らの辞意表明は、NPBでは前代未聞だが、過去にも、シーズン開幕前から事実上今シーズン限りと決まっていた、あるいはそうなる“運命”にあった監督が存在した。【久保田龍雄/ライター】

 契約最終年を前に、球団から「契約延長なし」と公表され、文字どおり最後の1年となったのが、2009年のロッテ、ボビー・バレンタイン監督である。04年、9年ぶりにロッテに復帰したバレンタイン監督は、翌年に31年ぶりの日本一を実現。オフに年俸5億円の4年契約を結んだ。

 ところが、08年シーズン中、「瀬戸山(隆三)球団代表から辞任勧告を受けた」と発言したことがきっかけで、フロント陣との対立が表面化する。この発言に対し、瀬戸山代表は9月3日、「誤解があったかもしれないし、言葉の問題もある。辞任勧告は一切していない」と否定し、翌09年までの続投を保証した。

 だが、バレンタイン監督は、2年前に瀬戸山代表から「半永久的に監督をやってほしい」と要望されたことを理由に、任期満了後も契約を延長するよう求め、「ここで長く指揮をとりたいし、監督をやりたいのは、このチームだけ。このチームで監督生活を終わらせたいくらい」と訴えた。

通告は寝耳に水「サプライズ!」

 そんな騒動のなか、4位に終わったシーズン後、球団側は10年以降の契約について「来年の成績やファンの声を聞いてから決める」と延長に含みを持たせる姿勢も示していたが、12月15、16日の幹部会議で状況が一変する。

 30億円超の赤字を抱え、重光武雄オーナーから経営改善を求められたことを受け、まず削減対象になったのが、バレンタイン監督の高額な年俸だった。球団に無断で韓国・斗山の強打者・金東柱の身分照会を行うなどの独断も、球団側の態度を硬化させた。

 そして12月21日、瀬戸山代表は「バレンタイン政権は来年までとなりました。来年がラストイヤーとなるので、有終の美を飾ってほしいと監督にお伝えしました」と異例のシーズン前の退陣決定を発表する。

 寝耳に水の通告に、バレンタイン監督は「サプライズ! この5年間でチームが強くなり、観客動員は400パーセント(上昇)という結果を出したのに、そのすべてを変えるということに驚いた」と不満をあらわにしたが、「球団のために私がいなくなったほうがいいようなので、この決断に賛成するということです」としぶしぶ受け入れた。

「来年は選手、ファンとともに過ごす最高の1年にしたい」と日本でのラスト采配に意欲を見せたバレンタイン監督だったが、フロントのバックアップを十分受けられなかったことも影響し、通算7年間でワーストの5位に終わっている。

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