「東芝」株主総会でカウントされなかった1310通の議決権行使書 背景に「先付け処理」なる慣例
本来は社長解任の票
三井住友信託が議決権行使書の集計を委託しているのは、みずほ信託と折半出資する「日本株主データサービス(JaSt)」。実は、JaStとその管轄の「杉並南郵便局」との間で「先付け処理」なる取り決めが交わされていた。
一般的に、郵便物の区分や分配機能を担う「地域区分局」に午前7時ごろまでに届いた郵便物は当日配達、それ以降は翌日配達となる。JaStは、議決権行使書の集計作業が膨大なことから、杉並南郵便局に翌日配達分を当日に届けてもらう一方、郵便物の到着日を証明する「交付書」は翌日のものを受け取っていた。
結果として、この先付け処理に従い、1310通の交付書の日付は7月31日とされた。つまり、3Dの議決権行使書1310通は、本来ならば車谷社長解任の票としてカウントされるべきだったのだ。
3Dの1.1%分で車谷社長の続投が覆ることはなかったが、仮に3Dが議決を左右するほどの票数を持ち、それが先付け処理されていたとしたら……。最高意思決定機関の決議が正しくない結果に変わっていた可能性もある。
「週刊新潮」2020年11月19日号「MONEY」欄の有料版では、先付け処理の実態について詳報する。
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