イタリア「サヴォイア王家諸騎士団」を巡る高貴ではない“決闘” 「謎の科学者」対「外交評論家」
日本支部の新旧代表
2020年9月、東京地裁で、とある名誉毀損裁判の判決が下された。原告は苫米地英人(とまべちひでと)氏、被告は加瀬英明(ひであき)氏である。なぜか日本で、かつてイタリア全土を支配していたサヴォイア王家を巡るトラブルが起きていたのだ。
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苫米地氏は脳機能学者として知る人ぞ知る存在で、オウム事件の際には信者の「脱・洗脳」を担当したこともある人物。事件後は人工知能関連会社を経営し、言論活動にも積極的だ。一方の加瀬氏は元国連大使の子息にして、ブリタニカ国際大百科事典の初代編集長。大物政治家からも頼りにされてきた外交評論家である。
二人が法廷で争うことになったきっかけを、加瀬氏が振り返る。
「もともと私は『サヴォイア王家諸騎士団』(以下・王家騎士団と略)という団体の日本代表を13年間務めていました。建築家の丹下健三さんがお元気なころに日本支部の運営を頼まれて引き受けたのです」
王家騎士団は慈善活動を行い、社会貢献のあった人物に「騎士」の称号を与えている。代々、サヴォイア家の当主が代表を務めており、現代表は「最後の王子」と呼ばれるエマヌエレ・フィリベルト王太子だ。王太子の訪日時に関係を築いた苫米地氏は、15年、「騎士」の称号を与えられた。19年から、加瀬氏に代わって代表に就いている。
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