東大前刺傷事件 社会心理学者が読み解く東大理III志望「高2被疑者」の“心の闇”

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 読売新聞オンラインは1月15日、「名古屋の高2少年『医者になりたくて東大目指していた』…東大前で3人切りつけ」の記事を配信した。

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 YAHOO!ニュースでも転載されるなど、広く読まれた。記事の骨子は、

《警視庁に殺人未遂容疑で現行犯逮捕された名古屋市の私立高校2年の少年(17)が、「医者になりたくて東大を目指していたが、成績が落ちて悩んでいた」と供述していることが、捜査関係者への取材でわかった》

というものだった。

 更に17日、産経新聞(電子版)は「少年、面談引き金か『「東大無理」に心が折れた』 東大前刺傷」の記事を配信した。

《殺人未遂容疑で逮捕された名古屋市の私立高2年の少年(17)が「(学校での)面談で『東大は無理』という話になって心が折れた」などと話していることが17日、捜査関係者への取材で分かった》

 担当記者が言う。

「SNSなどネット上では、少年の動機に関し、『全く理解できない』という疑問の声が目立ちます。Twitterには、《東大理III→医者だけが道ではない》、《自分の受験まではまだ1年あるのになぜ》という投稿もありました。たとえ東大へ行けないことで絶望したとしても、それがなぜ東大の前で無関係な3人を刃物で刺すことにつながるのか、確かに謎と言わざるを得ません」

ルサンチマンの謎

 新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(社会心理学)に、現時点での報道をベースに少年についての分析を依頼した。

「確かに現時点では、動機に謎の多い事件ではあります。とはいえ、犯罪の類型としては『通り魔殺人事件』の範疇に入ると考えられるでしょう。2001年の附属池田小事件、08年の土浦連続殺傷事件、そして昨年の京王線刺傷事件などとの共通性が浮かび上がります。ルサンチマン(註:弱者の強者への嫉妬や恨み)を抱えた被疑者が、社会に一矢報いるため、大量殺人を企てた事件だと言えるのではないでしょうか」

 ただし、なぜ彼がルサンチマンを抱えるに至ったのか、それが判然としない。

「1938年に起きた津山三十人殺し(津山事件)は、犯人が自殺したこともあり、なぜこれほど大勢の人が殺されなければならなかったのか、根本的な理解は難しいものがあります。ただし、犯人の遺書を読むと、“村八分”による疎外感に悩んでいたことなど、彼の心理状態が全く分からないというわけではありません。我々にも共感できる点がいくつかあるのです」(同・碓井教授)

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