ローソンが店内調理の弁当デリバリーを開始 「店員の仕事が増えて大変」の声に対策は
地味ながらスゴイ特長
「なぜローソンだけが今回の新事業を行えるのか。ひとつには先述したウーバーとの提携実績があるからですが、ローソンはかねてより店内でサンドイッチやカレーライスなどを作る『まちかど厨房』のサービスを行っていました。全国およそ1万4700店のうち、8000店がすでにキッチンのある店舗なのです。今回のデリバリー参入は、そうした設備の活用案として立ち上がった背景があります。ですから、調理の実績はあり、他のコンビニと差別化できる強みがあったわけです」(渡辺氏)
そして地味ながら、ローソンには「レジ」に特長があるという。同店に限らず、業務の効率化や働き手不足の対策として、『レジ』には力を入れているコンビニ業界。たとえばセブン-イレブンでは、支払い方法を選ばせたうえで決済も客が行うタッチパネル式のセミセルフレジを導入しているほか、先日はセンサーで指の動きを捉える“完全非接触”式の空中ディスプレイセルフレジの実証実験が始まった。ファミリーマートでも無人レジを置く店舗が増えてきている。
「ローソンでは、2019年から“セルフにも有人操作にもなる”新型レジの導入を進め、すでに全店舗に設置されています。これは店が混む時間帯に応じて、あるいは働ける店員の数に応じて切り替えられるという仕組みです。将来的に、小売り店でのセルフレジ導入は今以上に進むと見られ、その点でローソンは強みがあるコンビニといえるでしょう。レジ業務を省力化できるということは、それ以外のサービスに人手を割くことができるということ。ローソンが店内調理に踏み切れたのも、こうした設備投資があったからこそです」
もちろん、セルフでは対応不可能なレジ業務はある。公共料金の支払いや切手などは現在も有人レジのみでの対応だ。
「その点でいうと、ローソンは昨年4月に酒とタバコを買えるセルフレジの実証実験を行っていました。運転免許証をカードリーダーに読み込ませる、または事前に所定の手続きを済ませた専用アプリをかざすという方法で年齢確認を行うというもの。酒とタバコの販売はコンビニの売り上げの3分の1を占めるため、セルフレジ活用の課題になっています。19年にやはりローソンで実験として行われた無人営業では、この二つが販売できないことで売り上げが落ちてしまったことがありました。ただし、今後は国のバックアップもあり、年齢認証セルフレジは広がっていくと思われます。こうした取り組みからも、ローソンの『レジ』への熱意はわかると思います」
現在、業界3位の位置にあるローソン。新たな施策で巻き返しなるか。