ローソンが店内調理の弁当デリバリーを開始 「店員の仕事が増えて大変」の声に対策は
コンビニ大手のローソンが、店内で調理した弁当を「ウーバーイーツ」等のサービスを利用して宅配するデリバリー事業を展開することが明らかになった。多岐にわたる業務をこなすコンビニ店員、そこに「調理」が加わることでの負担増を懸念する声もあるが、ローソンならではの“秘策”もあるようだ。
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ローソンが始めるのは、店舗をもたずに運営するいわゆる「ゴーストレストラン」といわれる事業である。今年8月末までに20のブランドを立ち上げ、2025年度に1000店舗に拡大するという。
1月27日からは、東京都内の「ローソン飯田橋三丁目」店で実証実験もはじまった。レストランとしての店名は「NY飯!チキンオーバーライス飯田橋三丁目店」。味付けしたチキンと野菜をご飯の上に乗せた「チキンオーバーライス」(1290円~)などをウーバーイーツを通じて注文し配達する仕組みだ。
「ローソンは、これまでもウーバーを活用した宅配サービスを積極的に展開してきました。一昨年には、『からあげクン』がウーバーで最も注文されたメニューになったことも。これは食べ物だけではなくティッシュペーパーや電池などの日用品も同時に届けてもらえる “あわせ買い”効果によるものと見られます。また昨年には、一部の店舗で医薬品のデリバリーにも対応するようになりました。今回、ここに『店内調理の弁当』が加わったことになります」
と解説するのは、マーケティングアナリストの渡辺広明氏である。
「さっそくサービスを利用して食べてきました。さすが店内で作られたことだけあって、普通のコンビニの弁当にはない美味しさでした。ただ、もっとも安いメニューでも1300円ですから、家やオフィスに宅配してもらえる点に大きなメリットを感じないと、割高に感じる方もいるかもしれませんね。『コンビニ弁当』とは全く別のもの、と捉えるべきでしょう」
ただでさえ多い店員の仕事、そこに調理も?
ローソンの新たな取り組みは、1月28日放送の「ガイアの夜明け」(テレビ東京系)でも特集された。デリバリー事業に抜擢された担当者に密着取材を行い、メニュー開発の苦労や、調理工程を効率的にする工夫などを報じる内容だ。
これまでなかったサービスを好意的に受け取る一方、SNS上には「現場の負担が大変そう」という指摘も少なくない。品出し陳列や会計に加え、宅配荷物の対応や清掃、店舗によってはクリーニングの取次などもコンビニ店員の仕事に含まれる。そこに弁当の調理が加わるとなると……という訳である。
「知人のコンビニオーナーに協力してもらい、定期的にコンビニのレジに立って現場を体感しています。近頃は肉まんや揚げ物などのカウンターフードのニーズの高さと、そこに割かれる業務の苦労を感じています。昼時など混雑する時間帯にウーバーの注文を受ければ、レジを離れて対応しなくてはならないという手間もありますし、事前の調理にも時間は割かれます。コンビニ以外の小売りが弁当の販売を始めたり、飲食店がテイクアウトを始めたりと“胃袋争奪戦”が始まっている現在、ローソンとしても店内調理の弁当で一歩先んじようという狙いがあるのでしょうが、業務が煩雑になるのでは、という指摘も分かります」
と渡辺氏。しかし一方で、ローソンならではの“秘策”もあるという。
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