「慰安婦=職業売春婦」論文で「村八分」となったハーバード大教授が激白する“異常なバッシング”
学問の場におけるスターリン主義
こういう歴史をアメリカの学者らが一体どれほど理解しているかは謎だ。2003年にも、ゴードンはある英語資料を情報源として本を出版したが、その英語資料は吉田のでっち上げ本を基に書かれたものだ。しかし03年といえば、日本では吉田の本が虚偽であったことは周知されていた。にもかかわらず米国では、03年にハーバード大学で日本史を研究する教授が、吉田の本を情報源に慰安婦に関する執筆をしたのだ。
日本では、新聞を読む人なら誰でも、吉田の本の出版直後に女性らが強制労働の主張を始めたことを知っている。しかしアメリカ人研究者らはこの本のことには全くと言っていいほど触れない。女性らの言葉は多数引用するが、彼女らの話の内容が変わったことは(何度も変わったケースもある)ほとんど触れない。そして論争が吉田の虚偽によって起こったという事実にもほとんど触れない。
1930年代に朝鮮半島で実際に起こったことは明らかだ。日本軍は朝鮮人女性らに売春を強要していない。単にそれはなかったのだ。
しかし時として、学者らは、自分の主張が明らかに間違いであればあるほど、単純な真実の指摘に対して攻撃を激化させる。このテーマに関しては、日本史を専門とする米国人研究者らは驚くほど過激である。彼らは私の論文に対して、反証を試みることはしていない。論文の発行そのものの差し止めを求めた。これは学問の場におけるスターリン主義である。そしてそれは米国の大学における日本研究の将来にとっても良い方向とはいえない。
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