「慰安婦=職業売春婦」論文で「村八分」となったハーバード大教授が激白する“異常なバッシング”

国際 韓国・北朝鮮

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 2020年末に発表された論文「太平洋戦争における売春契約」は、「慰安婦=性奴隷」説を否定したことから韓国やアメリカで激しく糾弾された。だがそれは政治的意図に基づく運動で「学問の自由」を踏みにじる行為だった。騒動から1年、余りに酷い個人攻撃の全貌。

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 私の論文や書物が注目されることはほとんどない。ごく少数の専門家しか読まないような目立たない論文や本を書くからだ。2020年後半に発表した慰安婦に関連する論文も同様で、ある経済ウェブサイトが軽くコメントしてくれた以外は、誰も注目していなかった。

 ところが1年前の2021年1月後半に、産経新聞が大変好意的な論文の要約を掲載した。1月28日木曜日に産経新聞ウェブサイトに、また日曜日には紙面に掲載した。

 2月1日の月曜日、私はいつも通り朝起き、朝食を取りコーヒーを飲みながらメールをチェックしていた。私を誹謗中傷する嫌がらせのヘイトメールが届き始めた。韓国メディアが私の論文に関する産経の記事を取り上げたのだ。ヘイトメールは月曜日中に77件届き、そのすべては敵意に満ち、反日的で、ほとんどが非常識なものだった。その後も毎日、大量のヘイトメールが届き、それは2カ月間続いた。

 ヘイトメールを機に、私の論文を掲載したインターナショナル・レヴュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス誌(The International Review of Law & Economics)のウェブサイトを確認したところ、発行元のエルゼビアは論文についてのツイートを投稿しており、私の論文に関して1200回のツイートがあったことがわかった。異様である。いままで誰一人、ただの一度も、私の論文に関してツイートすることはなかったのだ。私はツイートの読み方すら知らなかった。

 息子の助けを借り、ツイッターアカウントを登録し、サーチ機能を教えてもらった。ある米国人学者グループが韓国メディアの記事を読み、憤っていることがわかった。

学者からの猛攻撃

 最初の一人はハンナ・シェパード(現在イェール大学で日本史を教えている若手学者)だったようだ。彼女は月曜朝にツイートし、

「何から話せばいいのか全く言葉を失う。三菱が支援しているハーバード大学ロースクールの教授は慰安婦が売春婦だったと論じている」

 1時間後、彼女はさらにツイートを続け、

「この論文は無視することもできるが、韓国メディアで第1面に取り上げられ、彼の所属先の名前もあるなか、無視できる? 無視していい?」

 ツイートの先頭集団には、エイミー・スタンレー(ノースウエスタン大学で日本史を教えている)と、デイビッド・アンバラス(ノースカロライナ州立大学教授)もおり、終日ツイートのやりとりをしていた。若手学者ポーラ・カーティスもそこに加わった。

 火曜日になり、ツイッター上の学者たちは、論文撤回を求める抗議行動を起こすべしとの結論に至った。実際、スタンレーとシェパードはそれぞれが月曜日のうちに学術誌の発行元に対して論文の掲載撤回を求めていた。

 シェパードは自分が出した要望書をツイッターにあげ、他の人も参考にできるようにしていた。そして彼女は、

「ラムザイヤーの論文は、日本の極右否認主義者らの意見をエコーチェンバー現象(編集部註 閉鎖的空間内でやりとりが繰り返されることにより、特定の信念、思想が増幅・強化されること)的に学術誌上で繰り返しただけ」

 とつけ加えた。

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