5年間で2億9000万円分の切手を横領…立川郵便局員の大胆すぎる手口が判明
6億7000万円の横領
さらに総括課長は、これとは別に2011年から2018年にかけて、6000万円分の切手を横領していたことも判明している。こちらはどのような手口だったのか。
「総括課長はお客様からはがきなどの交換手数料(通常はがき1枚につき5円)として受領した郵便切手(未消印)を裁断処理したように装い、勝手に持ち出していました」(同)
総括課長はこれらの切手を金券ショップで換金し、株式投資に充てていた。日本郵便は刑事告訴を検討している。
切手を横領した事件は、過去にも起きている。
2019年1月、神田郵便局(東京都千代田区)の60代の郵便部課長代理が懲戒解雇になっている。こちらは企業などが大量に郵便物を送る際に利用する「料金別納」制度を悪用し、約6億7000万円分の切手を横領したという。
料金別納郵便は切手で支払うことができるが、通常、支払われた切手は使用済みを示す消印を押し、総務部に回して細断処分することになっている。件の課長代理は、支払われた切手を総務部に回さずに横領していたのだ。
「神田郵便局においては、郵便料金の支払いを担当するのは郵便部になります。1回に数十万通の郵便物を出されるお客様もいらっしゃるため、郵便料金も高額になることも珍しくありません」(同)
労を惜しんで
芝郵便局(東京都港区)でも同様の事件が起こっている。40代の総務部課長が消印のない2億7000万円分の切手を細断処分せずに持ち出して着服し、2018年8月に解雇された。なぜ、未消印の切手がそんなに大量にあったのか。
「当時の芝郵便局では、大量に郵便物を出されるお客様が郵便料金を切手でお支払いいただいたため、切手が大量にあったのです。本来であれば、この切手は消印して二度と使用ができないようするものですが、担当者が労を惜しんで消印を行わなかったため、未消印であったものです」(同)
大阪でも切手の横領事件があった。堺中郵便局(堺市)の総務部長が、廃棄処分するために保管中だった1000円切手13万3000枚を着服し、2020年11月に懲戒解雇となった。着服した切手は、郵便物などを大量に発送する企業が、郵便料金を事前に支払う「予納金」として納められたものだった。
これだけ切手の横領が起きているとなると、少額な横領は日常茶飯事なのではないか。
「2021年3月10日は、奈良県の橿原郵便局主任による郵便切手約5万円の窃取を公表しています。金額の大小に限らず、部内不祥事については、告訴・公表することにしています。」(同)
料金別納郵便の不正が頻発しているため、切手で支払いができなくなったものもある。
「一度に多くの郵便物が差し出される広告郵便などの料金は、2019年1月から郵便切手での支払いが不可となりました」(同)
まだまだ問題はありそうだ。
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