「致死率0.006%のデータを活かして」 沖縄県専門家会議座長が提言、緊急事態宣言は不要?
待機期間は5日間が妥当
オミクロン株が現れた当初、日本は非常に厳しい対応策を作り、その被害を一番受けたのが、感染拡大が先行した沖縄県でした。
まず、感染者全員を入院させるのが大変で、12月26日の沖縄県専門家会議を経て、全員入院の対応を見直すことにしました。しかし、自宅療養者の解放に3日目、6日目、10日目と3回のPCR検査が必要なのも大変で、これも1月5日の専門家会議を経て廃止しました。また、ワクチン接種者以外は2回のPCR検査をしたうえで10日後、という厳しい退院基準も緩めました。
これらはいずれも、沖縄県が決めた数日後に、国も同様の対応に改めています。先行する沖縄県を参考に、国も動いてきたのです。
こうした中、1月26日の専門家会議で、私は「出口戦略」を提案しました。最初に挙げたのが「待機期間の短縮」で、「7日間または5日間」としました。「7日間」とは、感染症の専門家や医師たちが慎重になることを考慮してのもので、社会や経済の活性化のためには「5日間」が妥当だと考えていました。
5日間でいいというのは、オミクロン株の潜伏期間も踏まえています。沖縄県は人口147万人の島嶼(とうしょ)圏で、人の動きも東京などより少なく、疫学調査をしやすい。一足先にオミクロン株が流行したこともあり、国立感染研の方が沖縄に入った結果、濃厚接触者の発症は全員が5日以内だった、と示されました。政治家は「5日間」と決断してほしかった、という思いです。
ハイリスク軽症者へのレムデシビル投与
次に、すでに述べた「濃厚接触者の定義の変更」です。これができれば、いま社会機能の停滞につながっている多くのことが解決すると思います。
そして「ハイリスク軽症者に対するレムデシビル投与」。これまで点滴薬レムデシビルは、肺炎症状がある中等症や重症の患者さんにしか投与できませんでしたが、本来は高齢や基礎疾患があるなど、リスクが高い軽症者にこそ有効です。われわれの訴えもあって1月28日、重症化リスクがあれば、軽症段階でも投与できることになりました。
今後は高齢者施設で感染拡大しても、すぐにレムデシビルを投与すれば、症状が悪化してほかの病院に搬送されるような事態を防げると期待されます。軽症者には経口薬モルヌピラビルもありますが、カプセルが大きく、1回4錠を1日2回飲むのは大変で、身体に障害がある方はまず飲めないと聞いています。注射のほうが便利だというのが、現場の実感だと思います。
続いて「まん延防止等重点措置期間」について。いまみなさんがこの言葉に慣れ、行動抑制につながらないなら、「高齢者ワクチン接種推進期間」にしようという提言です。こういう言い方なら、たとえば自治体の保健医療部の方々も、モチベーションが上がるのではないでしょうか。
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