葛西紀明が明かす、後継者「小林陵侑」金メダルの可能性 伝授した門外不出のメソッドとは

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ラージヒルは金メダルを狙える

 北京五輪で陵侑は個人のノーマルヒル、ラージヒル、さらに団体と混合に出場します。ラージヒルであれば間違いなく金メダルを狙えるでしょう。ノーマルヒルはラージヒルと比べてジャンプ台のサイズが小さく、助走路も短いのでパワーがある選手の方が有利です。陵侑も決してパワーがない選手ではありませんが、浮力を味方につけるジャンプスタイルなので、ジャンプ台のサイズが小さいノーマルヒルだと彼の良さが活かしづらい。ただ、競技中に向かい風が吹けば浮力が増すため、勝機が見えてくると思います。

 その点、ラージヒルは助走でスピードが出るから、彼のジャンプスタイルに合っている。十分、金メダルに手が届く位置にいると考えています。

 一方で、気懸りなのはコロナの影響です。というのも、昨年11月中旬にワールドカップがスタートして以降、ほとんどの日本人選手は遠征から帰国していません。

 コロナが流行する以前はクリスマスに一度日本に帰り、リフレッシュしてから年末年始の「ジャンプ週間」に臨んでいたのですが、今回はそうはいきませんでした。帰国したら隔離期間の最中に次の試合が始まってしまいますからね。ヨーロッパの選手は毎週自宅に戻れますから、選手にとってこのハンデはかなり大きい。そんなハンデを背負いながら、それでも金メダルを獲得したら本当に凄いことだと思いますよ。

葛西紀明(かさいのりあき)
1972年、北海道生まれ。92年のアルベールビル大会に19歳で初出場して以来、平昌大会まで冬季五輪に8大会連続出場。リレハンメル大会(94年)で男子団体銀、日本選手団の旗手を務めたソチ大会(2014年)では男子個人ラージヒル銀、同団体で銅メダルを獲得。土屋ホームスキー部の監督を務めながら、現役生活を続けている。

週刊新潮 2022年2月10日号掲載

特集「『葛西紀明』が後継者『小林陵侑』に伝授した門外不出の『レジェンド・ブレス』」より

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