患者数400万人「軽度認知障害」過度に恐れるのは… 診断されたらどう過ごせばいい?
記憶以外の機能はトレーニングで向上
結論からいえば、予防対策をしたグループとしなかったグループでまったくといっていいほど変わらなかったのは、記憶能力の低下でした。アルツハイマー型認知症の本質的な症状である記憶能力の低下は、いくらトレーニングを重ねて予防したとしても避けられないわけです。
ただし同時に、記憶以外の、手順を踏んで作業を行う実行機能や処理スピードなどは、トレーニングすることで高められたという結果も出ています。仮に人が認知症になって記憶力が低下しても、他の脳機能が補完し合うことで日常生活は維持できる可能性があるのです。
臨床の経験上、もの忘れを心配して診察に来る方の半分は正常ですから、心配しすぎてもいけない。かといって自分の頭に違和感を抱えたまま放っておくのもストレスですから、どこかで病院に行くことを決断していただくことにはなります。心配な状態が続くなら診察にいらして下さればとは思いますが、その場合は「MCI=プレ認知症」と過度に恐れるのではなく、自らの生活習慣を改めるきっかけとして利用するというくらいの認識で来ていただければと思います。
[6/6ページ]