焼津「カツオ窃盗事件」は“第二幕”へ 「窃盗犯」を処分なしで勤務させ続ける漁協の呆れた隠蔽体質

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取材に答えたA

 他にも、〈かなり昔から(数十年前から10年前頃まで)、外港の職員が社員旅行での遊興費や年末年始の飲み会の費用の一部に充てるため、魚を加工会社に渡すことにより現金を受け取っていた事案があった〉〈未計量のブライン(冷凍カツオの種類)のパレットを渡し、その見返りとして金券を数回授受した経験があることを供述した者がいた〉。

 また、すでに伝えた通り、漁協職員の中には、今、捜査が進められている第二ルートに関与している可能性がある職員もいる。だが、誰一人として処分がないまま、今日に至っているというのだ。

 逮捕・起訴されたAもしかりである。保釈されているAを訪ねると、「私の弁護士は、起訴されたら解雇されるだろうと話していたのですが、いまだ漁協からは何の連絡もありません。自宅待機みたいな扱いになっています」と話した。Aは裁判が控えているため取材に協力できないと断ったうえで、こう語った。

「今もセリを担当する部署にいる人たちのほとんどが、窃盗に関わっています。過去にいた人たちも。軽い気持ちでやってしまいましたが、被害を受けた会社には大変申し訳なく思っています」

「内部調査には限界がある」と答えた漁協

 漁協はいったいどう考えているのか。取材に応じた焼津漁協の理事はこう答えた。

「再発防止委員会を昨年12月に立ち上げ、今回の事件を反省し、ハード面からソフト面まですべて見直して、システムを構築し直すよう進めているところです」

 だが、調査をこれで終わりなのかと問うと、

「そこは微妙なところでして……。確かに不十分ではないかという声は届いています。しかし、内部調査には限界があるのです。当然、処分については考えています。監督していた上司なども含めて、年度内にはと考えています」

 と、はぐらかすように言うのであった。一方で、「水産加工会社の損失補填や相場維持を目的として、水産加工会社にカツオを提供していた職員もおり、すべてに悪意があったとは認定できない」とも言う。

 実はこのケースは関しては調査報告書においても、全20ページ中4ページを割いて説明されている。だが、これはただの言い逃れのような話で、結局のところ、漁協職員が船会社に黙ってカツオを抜いて水産加工会社に渡していたことには何ら変わらず、やられたほうからすれば同じ窃盗なのだ。

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