焼津「カツオ窃盗事件」は“第二幕”へ 「窃盗犯」を処分なしで勤務させ続ける漁協の呆れた隠蔽体質
昨年、静岡県焼津漁港で発覚した冷凍カツオの窃盗事件。地元の水産加工会社や運送会社が焼津漁業協同組合の職員と共謀し、窃盗を繰り返してきた事実に社会は衝撃を受けた。だが、驚くべきはその後の話である。このコンプライアンスが重視される社会において、焼津漁協は逮捕者を出しながらも中途半端な調査しか行わず、騒動に蓋をしたがっているのだ。それに同調し、何事もなかったかのように仕事を続ける漁業関係者たち。焼津で取材していると、常識が通用しない“異空間”に迷い込んだような錯覚に陥るのである。
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これから始まる“第二の事件”
1月某日午前7時。焼津外港に向かうと、カツオの水揚げが行われていた。クレーンで漁船から港に移された冷凍カツオは、ベルトコンベアを回りながら仕分けされ、パレットに流し込まれていく。そして、トラックに積まれて港外へ。トラックは港内を出る前に、必ず計量場を通らねばならず、そこには監視員が常時立っていた。再発防止のために、焼津漁協が新たに講じた取り組みの一つである。そう、これまではこの計量場を通らずに出ていく手法で、“泥棒たち”は堂々と冷凍カツオを盗んできたのである。
一見、平常に戻ったように見えた焼津漁港だが、昨年10月に着手された窃盗事件の捜査はいまも続いている。むしろ、これから「第二幕」が始まるところなのだ。静岡県警関係者が解説する。
「ようやく『第一ルート』と呼ばれる、焼津市の水産加工会社『カネシンJKS』役員、運送会社『焼津港湾』社員、漁協職員Aらが関わったルートが片付いたところです。彼らは21年2月に約4.5トン(時価100万円)、同年4月に約4トン(時価74万円)の冷凍カツオを盗んだ容疑で逮捕・起訴された。21年8月に約3トン(時価72万円)を盗んだ容疑でも、1月31日に追起訴されました」
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