中国の五輪公式アプリ、「2400個のNGワード」が判明 「ダライ・ラマ」などが監視対象

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4万人以上の来場者がPCR検査

 その北京では現在、人口約200万人の「豊台区」が封鎖され、全住民にPCR検査が行われているのだが、陽性者が確認された地方都市でも、封じ込めは熾烈を極めていた。中国事情に通じる「シグマ・キャピタル」チーフエコノミストの田代秀敏氏が言う。

「人口1300万人の大都市・西安では、昨年12月にコロナ感染者が出たことで1月下旬まで“ロックダウン”が続いていました。感染状況などで市内の『社区』(行政区画)をリスクの高さで分類し、“高リスク”に指定された地区の住民は自宅から一歩も出られませんでした。ドアの外に計測器を設置され、行政職員が立ち会った時以外に住民がドアを開閉したかどうか、把握されるのです」

 東京とほぼ同じ人口ながら、リスクのレベルによらず全市民には10回前後のPCR検査が課されたという。気になるのは食事だが、

「1日3回、行政から各戸に届けられ、家庭のごみも持ち去ってくれます。毎日3食の習慣が根付く中国では、食料配給が滞れば暴動にも発展しかねない。さらにリスク指定された地区では、中国版WOWOWのような有料チャンネルが無料で観られる措置をとるなど、当局は“アメとムチ”を巧みに使い分けています」

 また、北京から120キロの距離にある人口1400万人の天津でも、先月にオミクロン株の感染者が確認され、ロックダウンを恐れた市民による食料買い占めが起きた。こちらも全市民にPCR検査が行われ、北京との間を30分で結ぶ高速鉄道の運行は停止されている。田代氏が続けて、

「“封鎖”は商業施設にも及びます。1月13日には上海のユニクロ旗艦店で陽性が疑われる人が発見され、買い物客ら約70人が48時間もの間、店内に閉じ込められました。また昨年10月末には、前日に陽性者が来場した恐れがあるとして、上海のディズニーランドが開園中に閉鎖。深夜まで4万人以上の来場者がPCR検査を受けさせられました」

2400個のNGワード

 悲劇というより喜劇である。ゼロコロナとは、こうした強権措置と表裏一体であるのは言わずもがな。加えて、各国の関係者を苛んでいるのが、大会で用いられるアプリだ。先のジャーナリストが言う。

「先月18日、健康状態の管理に用いられる大会の公式アプリ『MY2022』に重大な脅威があるとカナダの研究機関が発表、各国で一斉に報じられました。このアプリは、選手をはじめ報道陣や観客など、すべての関係者が中国に出発する14日前までにインストールを義務付けられているのですが、音声ファイルや健康データ、税関関連や渡航歴などの個人情報が漏洩する危険があると分かったのです」

 さらには「天安門事件」「習近平」「ダライ・ラマ」など2400余りの単語が監視対象となる“検閲ワードリスト”も組み込まれていたといい、

「IOCは“重大な脆弱性は見つからなかった”と、火消しに回っていますが、すでに多くの情報が当局に吸い上げられたとみるのが自然です。実際に欧米各国の五輪委員会は、自国の選手団に対し、個人所有のデバイスは中国に持参せず、レンタルや使い捨てのスマホを用いるよう、呼び掛けています」(同)

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