なぜ今「藤井隆」が再評価? 他の大物MCにはない“王道ではない”才能とは

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 いま日本を騒がせる「三大藤井」といえば、藤井聡太さん、藤井風さん、そして藤井隆さんである。個人的には。中でも藤井隆さんは、年始からMC番組の話題で持ちきりだ。

「新婚さんいらっしゃい!」の2代目司会者に抜擢されたこと。別名義・マシュー・弦也・南によるポッドキャスト配信に、活動休止中のあややこと松浦亜弥さんが出演したこと。そして東野幸治さんとMCを務める「あらびき団」が、番組初のゴールデン帯で「復活」するという。お笑いのみならず役者に歌にとマルチな活躍を続けている藤井さんだが、これだけ注目ニュースが続くのも異例のことではないだろうか。

 サラリーマンをしながら吉本新喜劇の舞台に立ち、芸人としてブレークしたのはオネエキャラで「ホット! ホット!」と叫ぶネタだった藤井さん。プライベートでは至って静かで、同業者さえもギャップに驚いたそうだ。勢いに乗って「ナンダカンダ」でCDデビューし紅白出場も果たすが、単なるラッキーな芸人としては終わらない。ハイテンションな素地はそのままに、音楽への愛を体現するマシュー南へと進化した。

 マシューが誕生した「Matthew's Best Hit TV」の開始は2001年。それまでの音楽番組には、「リアル」が問われていた。例えばダウンタウンの「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」に、とんねるず石橋貴明さんと中居正広さんの「うたばん」。強圧的なノリのMCが、出演アーティストのパブリックイメージを崩して「素」を暴くことに重きが置かれていたものだ。乱暴な言い方をすれば音楽がおまけで、出演者の人柄がわかることや、新しい一面を引き出すことが最優先されていた。「ミュージックステーション」のタモリさんも、答えを準備してくるアイドルより、寡黙だったり口下手そうなアーティストを好んで話を引き出していた印象が強い。曲だけでなくトークやリアクションがアーティストの人気を左右する時代だった。

 しかしマシューの番組は真逆である。MC自身が虚構の存在で、率先してゲストや音楽への思い入れを雄弁に語る。奇妙なあだ名をつけてポップな世界観ではしゃぐことを求め、「ゲストのリアル」を深掘りはしなかった。なんとなく、真逆のキャラを貫かざるを得なかった自分の辛さを、他人には押し付けたくなかったのかな、と感じる。

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