なぜ人は「人事」に心を奪われてしまうのか 友達関係ですら「隠れた人事権」を持つ者が(古市憲寿)

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 今年、37歳になった。同世代が「おじさん」になったと感じるのは、嬉しそうに人事の話をし始めた時だ。

 ある30代の学者と会議で一緒になった時、彼は人事のことばかりを気にしていた。自分が関係する官庁の人事、政治家の人事、所属する大学の人事。結局、専門家としての話はほとんど披露せず、人事だけを気にして彼は帰っていった。

 組織人としては正しい態度なのかもしれない。学者とはいえ、研究費の獲得や、しかるべきポジションを得るためには、人事情報に目を配る必要があるのだろう。...

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