3度の「結婚、不倫、離婚」で今は独身… 48歳男性を惑わす“サイショウドウキョ”の家庭環境

  • ブックマーク

直樹さんの「悩み」

 職場での直樹さんは「目立たないけど地道に働くタイプだと思う」と言った。人と協力しあうよりひとりで仕事を黙々と片づけていくらしい。だが同僚と飲みに行ったりするのは嫌いではない。学生時代の友人とは今も親しくつきあっているが、「おまえは変わり者だよ」とよく言われるという。

「それが自分なのだからしかたがない。今さら変えられない。そう思う半面、違うタイプの人間として生き直せないのか、あの40歳のときの思いは今も抱いています。ただ、何をどうしたらいいのかわからないんですよね」

 彩子さんは直樹さんが離婚してから、ほとんど誘ってこなくなった。同居している夫の両親に介護が必要となり、彼女は仕事と介護でフル回転せざるを得なくなったのだ。介護をきっかけに夫婦が協力することも増え、自分より夫を選んだのだろうと直樹さんは考えている。

「親しくなった女性、結婚した女性を、恋人とか妻とか、そうやってカテゴライズした瞬間、自分にとってその人がどういう存在かがわからなくなってしまうんです。友人には考えすぎだと言われますが、人との向き合い方がもともとわかっていないので、悩んでしまうんですよね」

 好きだから一緒にいたい。そのシンプルな考え方が身についていないのだと彼は寂しそうに笑みを浮かべた。

「50歳を目前に、もう今後は結婚しないことを目標にするしかないような気がします。もう一度、自分を見つめ直すしかありません」

 ひとりでいると誰かと一緒にいたくなる。だが結婚すると、その関係がうっとうしくなって他の女性になびいてしまう。そしてそれをごまかすことができないのが直樹さんという人間なのかもしれない。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 4 次へ

[4/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。