新劇の老舗「劇団民藝」が24歳の“研究生”を主役に大抜擢 「空を飛んでいるような気持ちに」
肩書は「研究生」
北九州市の出身で、高校卒業後に桐朋学園で4年間、基礎から演劇を学んだ。一昨年4月に入団したばかりで、肩書きは“研究生”だ。
「半年は稽古場にも入れず、レッスンもリモート。入団した年の秋頃には、ようやく稽古に通えるようになったけれど、同期の男の子が初舞台を踏んだのを見て、“私はいつ舞台に立てるのかなぁ”と、焦りを感じたこともありました」
舞台は1960年代のドイツ。アウシュヴィッツの裁判で通訳を務めたエーファ(加來)が、歴史や家族の過去に向き合う姿が描かれる。
「いまは必死にもがいています。エーファは困っている人を見ると助けてあげたいと思う女性。裁判を通して成長する彼女の姿をしっかりと表現していければ」
エーファの母親を演じるのは、昭和42年に放送されたNHK朝ドラ「旅路」でヒロインを演じたベテランの日色ともゑ(80)だ。
「日色さんをはじめ、先輩たちのドラマや映画の演技に心を動かされて舞台を志しました。いずれは私も、観客の心を動かせるような女優になりたいですね」
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