正念場を迎えた「甲子園のヒーロー」 ヤクルト、阪神、ロッテの“元有望株”はブレイクなるか?

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「飛ばす力はあるし運動能力も高い」

 パ・リーグで苦しんでいる選手としては冒頭で触れた清宮、吉田、さらにオコエ瑠偉(楽天)の名前が挙がることが多いが、もう1人忘れてはならないのが、15年のドラフト1位、ロッテの平沢大河だろう。

 高校3年夏の甲子園では3本塁打を放ち、2球団競合の末、ロッテに入団。ちなみに、その時に平沢を外した楽天が指名したのがオコエだった。3年目の18年には112試合に出場して62安打とレギュラー獲得を予感させたが、その後は度重なる故障もあって低迷。過去2年間は一軍出場なしに終わっている。

 プラス要素としては、昨年二軍での成績が持ち直してきたことが挙げられる。打率こそ2割台前半だったものの、出塁率は3割台後半をマークしており、8本塁打、45打点もチームトップの数字だ。

「怪我をしていた20年はかなり苦しい印象でしたが、昨年はだいぶ持ち直してきましたね。元々飛ばす力はあるし運動能力も高い。二軍でショートとして使われているのは、ロッテがまだ期待しているということではないでしょうか。(トレードなどで)欲しいと思っている球団もあると思いますよ」(他球団の編成担当者)

 このコメントにもあるように、好調時のフルスイングと打球の速さはやはり大きな魅力である。チームのショートは、藤岡裕大とエチェバリアが主に任されているが、どちらも絶対的なレギュラーとは言い切れない。平沢は今年で25歳とまだまだ若いだけに、期待を寄せる首脳陣もまだまだいるはずだ。重要なのはやはり怪我をしない体作りになる。先日、3年ぶりに一軍キャンプスタートとなることが発表されたが、まずは大きな怪我なく乗り切り、持ち味であるパンチ力をアピールしてもらいたい。

 今回、取り上げた寺島、北條、平沢の3人は高校時代に甲子園で強烈なインパクトを残したという点も共通しており、そのことを記憶しているファンも多い。3人とも正念場を迎えていることは確かだが、チーム事情を考えると、まだまだチャンスはあるだけに、甲子園で見せた輝きを取り戻してくれることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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